プリセプターの役を年度の途中で全部降りるのは、通りにくいと思っておくほうが安全です。でも、負担を減らす、ペアを変える、次年度は外れる、の3つは頼めます。プリセプター本人の投稿を6件読むと、辞退や負担を上司に伝えた2件はどれも通っておらず、数字で頼んだ人は0人でした。
新人さんが帰ったあと、自分の記録と指導の記録がまだ残っている。その帰り道にこの言葉を打った人に向けて書きます。体に出ている人は、頼み方より先に最後の章を読んでください。
わたしも、3交代の急性期病棟でプリセプターをしていました。新人が帰ったあとに自分の仕事を片付ける日が多く、残業がじわじわ増えた側です。降りる頼み方はわたしの体験ではなく、6件の声と厚生労働省のガイドラインから組み立てました。
\最初にこの記事の結論/
看護師がプリセプターをやめたいとき降りられる?本人の投稿6件で見た現実
降りられるかどうかは、法律ではなく病棟の運用で決まります。先に、同じ立場の人がどうなったかを見ておきます。
順番に見ていきます。
本人の投稿6件を数えた
知恵袋で、プリセプター本人が「やめたい」「やりたくない」「もう限界」と書いている投稿を読みました。6件で、2013年から2025年のものです。次年度を頼まれた人もふくめていて、分け方はわたしの判断です。
| 分け方 | 件数 | 中身 |
|---|---|---|
| これから任される | 3件 | 次年度の打診、決まった直後 |
| 年度の途中 | 3件 | 4月から12月の投稿 |
| 辞退や負担を上司に伝えた | 2件 | 外れたと書いた人は0件 |
| 数字を出して頼んだ | 0件 | 残業時間や受け持ち人数 |
| 途中でペアが離れた | 1件 | 新人の申し出 |
| 上司に相談していない | 1件 | 「甘えるな」と言われるから |
1つの投稿がいくつかの行に入るので、合計は6になりません。辞退や負担を伝えた2件は、投稿の時点でどれも外れていませんでした。6件だけの数なので、プリセプター全体の割合として読まないでください。
伝えた2件の中身は、次のとおりです。どれも次年度の役や決まった直後の話でした。
- 辞退したいと伝えた
- 自分でないほうがと相談した
年度の途中に「降りたい」と自分から頼んだ、と書いた人は6件の中にいません。
もう1つ気づいたのは、怒りの向きです。新人への不満より、師長や先輩、病棟のやり方について書いた人のほうが多くいました。「みんなで育てよう」と言われながら、何でもプリセプターに回ってくる、と書いた人もいました。
6件を読むかぎり、能力が足りないからつらい、という書かれ方ではありませんでした。ただ、それが分かっても明日は変わらないので、この記事では「やめたい」を4つに分けて進めます。
- 役を全部降りる
- 負担を減らしてもらう
- ペアを変えてもらう
- 次年度は外れる
年度の途中で降りる場合
年度の途中で役を全部降りるのは、通りにくいと思っておいたほうがいいです。知恵袋の回答にも、「プリセプター辞めます」というのは難しいでしょう、とありました。ただ、回答した1人の見方で、途中で頼んだ結果を書いた投稿は読めていません。
それでも、途中で形が変わった例はあります。読んだ6件のうち1件で、年度の途中にプリセプターと新人が離れていました。3年目の人で、きっかけは新人が所属長に申し出たことです。
プリセプター本人が頼んで変わったのではありません。本人が言い出す前に、まわりが動いた形でした。
件数には入れていませんが、別の立場の投稿も2つ読みました。
- 泣いて相談され外した先輩側
- 「降りたいそうだ」と書いた新人側
1つ目は、5年目で初めてのプリセプターに泣いて相談され、とりあえず指導から外れてもらった、という看護師の投稿です。2つ目は、自分のプリセプターが師長に降りたいと言っているそうだ、という新人の投稿でした。
あさこ「降りたい」と口にした人はいるし、外れた人もいる、というところまでは言えます。
夏に退職する予定を伝えた4年目の人は、上司から「プリセプターが途中で変わる事はよくある事」と言われていました。よくあるのかどうかは、わたしには確かめられません。途中で変わること自体は、病棟の運用としてありえる、と読めば足ります。
次年度を断る場合
次年度の話は、途中で降りるより頼みやすいです。まだ新人とのペアが始まっていないからです。読んだ6件でも、3件が打診や決定の直後に書かれていました。
プリセプターの2回目を頼まれている。本当の理由は、卒後3年目の人が辞めたから。指導するくらいなら、自分の勉強がしたい。(知恵袋の相談の要旨)
6件のうち2件は、2回目以上を頼まれた人でした。1回目より、断る理由を言葉にしにくい立場です。
退職や異動の予定がある人は、打診の前に伝えておくほうがいいです。知恵袋で読んだ回答を、要旨で紹介します。
自分の勤務先では、プリセプターの1年間は異動の対象から外れる。だから異動・退職・休職の予定も考えて選ばれている。(知恵袋の回答の要旨)
1つの病院の話ですが、選ぶ側が知っていれば、名前が挙がる前に外れることはあると分かります。
これから任される3件の投稿日は、11月から4月に散らばっていました。次の年度の役割がいつ決まるかは病棟で違うので、秋の面談で聞いておくと間に合いやすいです。
「業務命令」と言われたら
辞退を伝えたら「業務命令だから拒否できない」と言われた、という人が1件ありました。業務命令にあたるのか、断るとどう扱われるのかは、就業規則と病院の決まりで変わります。ここで線を引くことは、わたしにはできません。
言えるのは、役を受けるかどうかの話を、条件の話に移すことはできる、ということです。「業務命令」と言われた場でも、次の3つは聞けます。
- ペアの日の受け持ちは何人か
- 記録を書く時間は勤務内か
- 困ったときの相談先と回数
読んだ6件には、残業時間や受け持ちの人数を出して頼んだ、と書いた人が1人もいませんでした。数字で頼めば通る、とは言えません。でも、まだだれも試したと書いていない方法なので、次に試すならここだと考えています。
役割そのものや目標の立て方は、プリセプターを任された看護師の役割の記事にまとめてあるので、ここでは頼み方に進みます。
師長に頼む前に、負担を5つの数字にする
頼む前に、負担を5つの数字にします。「しんどいです」は気持ちの話として受け取られやすく、数字は「できる・できない」で返しやすいからです。
順番に見ていきます。
数えるのは5つ
数えるのは、勤務表とタイムカードを見れば分かるものだけにします。15分きざみの記録を何日もつける方法もありますが、病棟で続けるのはむずかしいと思います。
| 数えるもの | 見る場所 |
|---|---|
| 先月の残業時間 | タイムカード、超過勤務の申請 |
| 任される前の月の残業時間 | 同じ記録の去年か3月分 |
| ペアの日の受け持ち人数 | その日の受け持ち表 |
| 新人と組んだ夜勤の回数 | 勤務表 |
| 勤務のあとに書いた記録の回数 | 自分のメモ |
3年目。上司の依頼を断れずプリセプターになった。「みんなで育てよう」と言われながら、朝から「計画はどうなってるの」と聞かれる。教えていると自分の仕事が進まず、新人の前で「自分の仕事を早く終わらせて」と言われた。看護研究とケーススタディも重なっている。上司には「甘えるな」と言われるので相談していない。(知恵袋の相談の要旨)
この人のつらさは本物ですが、数字は1つも書かれていませんでした。わたしのプリセプターのころの話にも、数字がありません。書けるのは、新人が帰ってから自分の仕事に戻る日が多かったことと、残業がじわじわ増えたことまでです。
何時間増えたかの数字は、ここには書けません。



じわじわ増えるものは、その月のうちに書いておかないと数字にしにくいです。
今月の分だけでいいので、5つのうち書けるものを書いてください。任される前の月と比べられると、「プリセプターの分」が見えます。
勤務のあとの指導記録
指導の記録や評価表、プリセプターの会議、勉強会の準備を、勤務のあとや家でしている人は多いと思います。
この時間の扱いは、厚生労働省の労働時間の適正な把握のためのガイドラインにあります。使用者の指示で業務に必要な学習などをしていた時間も、労働時間に入るという考え方です。
参加が業務上義務づけられている研修や、使用者の指示で業務に必要な学習などを行っていた時間は、労働時間として扱う。(同ガイドライン「3 労働時間の考え方」の要旨)
労働時間にあたるかどうかは、義務づけられていたか、そうせざるをえなかったかで、1つずつ判断されるものです。あなたの指導記録がどちらなのかを、わたしが決めることはできません。
確かめるのは、だれの指示か、勤務時間の中にやる時間があるかです。作業ごとに見ていきます。
- 指導の記録、評価表
- プリセプターの会議
- 勉強会の準備
超過勤務として申請していない時間は、別に数えておきます。始業前に来て情報を集める時間のことは、看護師の前残業がサビ残にあたるかを調べた記事に書きました。
ガイドラインを根拠にする
頼むときの根拠には、厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインが使えます。プリセプターは、このガイドラインでは「実地指導者」にあたります。
| ガイドラインの書き方 | 頼みごとに変えると |
|---|---|
| 直接の指導者だけでなく、部署スタッフ全員が見守る体制が望ましい | ペアの日を、ほかの人にも割りふってほしい |
| 指導者は1人・複数・日々交代を、時期によって組み合わせる | 後半は日々の指導者を交代制にしてほしい |
| 指導者の不安・負担感を軽くするため、所属長か教育担当者の面接を定期的に | 月1回、15分の面接がほしい |
| 困難を感じたら、教育担当者や部署管理者へ相談、助言を求めることができる | 困っているので、相談の時間がほしい |
4つ目は、実地指導者に求められる姿勢として書かれている文です。困ったら相談することは、指導者に求められる姿勢の1つになっています。
気をつけたい点もあります。ガイドラインの体制や方法は「例示」で、「望ましい」という書き方です。病院に義務づけるものではありません。
新人の研修そのものも、平成22年4月から努力義務になったものです。ガイドラインはその研修の進め方を示した指針で、プリセプターの権利を決めた文書ではありません。
それと、受け持ちを何人減らす、という数字はガイドラインのどこにもありません。人数の話は、自分の数字を出して頼むしかないです。
師長・教育担当者に頼む言い方|数字2つと頼みごと1つ
頼みごとは1つにしぼって、数字を2つ付けます。先に、だれに言うかを決めます。
順番に見ていきます。
だれに先に言うか
勤務表と受け持ちを決めるのは師長で、指導の中身やペアの調整に入るのは教育担当者です。ガイドラインでも、教育担当者は実地指導者への助言と指導をする人で、各部署に1名以上が望ましいとされています。
- 受け持ち、夜勤:師長
- 教え方、計画:教育担当者
- ペアの相性:教育担当者から
教育担当者がいない病棟なら、主任か副師長に先に話す方法があります。
時間は、「プリセプターのことで、15分お時間をいただけますか」と先に取ります。申し送りの前後に立ったまま話すと、その場の返事で終わりやすいです。
わたしは、頼みごとを口で言えなかった側です。プリセプターとは別の件ですが、6年目の秋の師長面談のことです。夜勤を減らしてほしいと言おうとして、口にしたのは「来年度も病棟で頑張ります」のほうでした。



口で言える自信がない人ほど、数字と頼みごとを紙に書いて持っていくほうがいいです。
負担を減らしてほしいとき
年度の途中なら、役を降りるより先に、減らしてほしいものを1つだけ頼みます。文の形は、数字2つ、頼みごと1つ、だめなときの聞き方、の順です。
文面の例です。頼みごとは「ペアの日だけ、受け持ちを1人減らす」にしました。
「先月の残業は◯時間で、プリセプターになる前の月より◯時間増えました。新人さんとペアの日の受け持ちは◯人です。ペアの日だけ、受け持ちを1人減らしてもらえますか。むずかしい場合は、ほかに何ができるかを教えてください」
頼みごとの候補は、このあたりです。数字は自分の病棟に合わせてください。
- ペアの日の受け持ちを1人減らす
- 新人との夜勤を月◯回までに
- 指導の記録は勤務時間内に
- 月1回、教育担当者と15分
1回の面談で頼むのは1つにします。4つ並べると、いちばん軽いものだけが通って終わりやすいからです。
数字で頼んだ結果を書いた投稿は見つからなかったので、通るかどうかは分かりません。それでも、返事は「できる」か「できない」のどちらかで返ってきやすくなる、とわたしは考えています。
次年度を外れたいとき
次年度を外れたいなら、名前が挙がる前に伝えます。決まったあとに断ると、代わりの人を探す話になり、病棟の中で角が立ちやすいからです。
「来年度のプリセプターは、外していただきたいです。今年度は残業が月に◯時間増えました。来年度は◯月に看護研究の発表もあります」
外れるのがむずかしいと言われたら、受け持ちの人数と指導者の人数の、2つの条件に切りかえます。
「引き受ける場合は、ペアの日の受け持ちを◯人にすることと、指導者をもう1人つけることをお願いします」
「前にもやったから」は、次も引き受ける理由にはなりません。何回目なのかも、数字の1つとして伝えていいと思います。
通らなかったときの返し
1回で通らないことのほうが多いと思います。読んだ投稿に出てきた返事を並べて、次の一言を考えました。右の列はわたしの案です。
| 返ってきた言葉 | 次の一言 |
|---|---|
| 経験としてやったほうがいい | 続けるために、受け持ちを1人減らしてほしいです |
| 業務命令だから拒否できない | では、条件を確認させてください |
| 遠くから見守る立場で何も言うな | 離れたあとの役目を決めてください |
「経験として」と言われたら、続けるための条件の話に移します。経験を積ませたいのなら、途中でつぶれない形を決めることは、上司の側にも意味があるはずです。
言われた言葉は、帰る前に日付といっしょに書いておきます。次に相談する日を、その場で決めておくのも大事です。見直しの日がないお願いは、返事がないまま年度が終わりやすいです。
続けるなら減らしていいもの|わたしがしぼったこと
続けると決めた人も、全部を持ちつづけなくて大丈夫です。減らしていいものを3つに分けます。
順番に見ていきます。
教えるのは1日1つ
1日に教えることは、1つにしぼっていいと思います。わたしがプリセプターのころにしていたのも、教えることを「今日はこれだけ」としぼることでした。全部を教えようとはしていません。
しぼっても、新人が帰ったあとに自分の仕事が残る日は多かったです。だから、これで残業がなくなる、という話ではありません。変わるのは、勤務の中で新人のそばにいる時間の使い方です。
帰りぎわの振り返りも、1つで足ります。ガイドラインは、できなかったことだけを見るのではなく、できたことをほめ、強みを確かめて励ます評価をすすめています。わたしが新人に返していた言葉も、決まっていました。
- できたことを1つ、具体的に
- 「最初はみんなそうだったよ」
2つ目は、落ちこんでいる日に、下手に励ますより寄りそうほうを取っていたときの言葉です。言うことを決めておくと、何を言おうか考えこまずにすみます。
1人で持たなくていい仕事
プリセプターが抱えがちな仕事のうち、ガイドラインでは別の人の役目になっているものがあります。自分の病棟の決まりと見くらべてみてください。
| 抱えがちなもの | ガイドラインの書き方 |
|---|---|
| 1年の総合評価 | 教育担当者か所属長が行う |
| 部署の研修の企画と運営 | 教育担当者が中心となって行う |
| 新人ごとの計画 | 教育担当者、部署管理者とともに立てる |
| 毎日つきっきりの指導 | 日々の指導者をチームで置く方法もある |
「とともに」と書かれている仕事を、1人で仕上げて出す必要はありません。計画は、たたき台を持っていって、教育担当者といっしょに決めれば足ります。
もう1つ、減らしていいのが、先輩が気づいたことをプリセプター経由で新人に回す伝言です。
- 気づいた人がその場で伝える
- 伝言は教育担当者にも共有
- まとめて聞く日を決める
「その場で、直接伝えてもらえると助かります」と返していいと思います。
仲良くなるのは目標にしない
新人と仲良くなることは、プリセプターの目標から外していいです。わたしは合わない相手とは、無理に仲良くなろうとせず、仕事の伝え方を相手に合わせるようにしていました。
伝え方を合わせる、というのは、相手を好きになることとは別の話です。口で言うか書いて渡すか、1度に言う量、いつ言うか。変えられるのはこのあたりだと思います。



新人に好かれることまで、プリセプターの仕事に入れなくていいと思います。
減らしてはいけないのは、患者さんの安全にかかわる確認だけです。ここは、相手と合っても合わなくても、言う中身を変えません。
プリセプティと合わないとき、ペアを変える4段階の頼み方
ペアは、全部ではなく一部から頼めます。頼むときは、性格ではなく出来事で話します。
順番に見ていきます。
ペアが離れた例
読んだ6件のうち、年度の途中でペアが離れたのは、この1件だけでした。
3年目のプリセプター。担当の新人に、6月ごろから面談や研修の場で悪く言われてきた。自分の言い方にも反省する所はある。新人が所属長に「合わないから距離を置きたい」と申し出て、チームが別になった。上司からは、遠くから見守る立場で何も言うな、と言われた。根本的な解決になっていないと思う。(知恵袋の相談の要旨)
離れても楽になっていないのは、離れたあとに自分が何をして、何をしないのかが決まっていないからだと読みました。「何も言うな」だけでは、役が残ったまま口だけふさがれた形になります。
件数には入れていませんが、来年プリセプターになりそうだという人の投稿もありました。相性の悪い相手と組んだら師長に相談してよいものか、という質問です。
ガイドラインは、教育担当者の役目に、新人と実地指導者との関係を調整して支えることを入れています。ペアの相談は、わがままではなく、決まった相談先のある話です。
「合わない」を出来事で話す
「合わないので変えてください」とだけ言うと、どちらが悪いかの話になりやすいです。日付と場面のついた出来事を、3つ持っていきます。
- いつ、どの勤務か
- 何があったか
- 自分は何をしたか
- そのあとどうなったか
たとえば、こういう書き方です(説明のための例です)。「◯月◯日の日勤。同じ手順を3回目に説明した。メモを取るよう伝えた。次の勤務でも同じ所で手が止まった」。
書くのは見たことと自分がしたことだけにして、新人の性格は書きません。投稿の中には、新人に何か特性があるのではと書いている人もいました。



それを決めるのは医師で、先輩が師長に伝えるのは「起きたこと」までにしておくほうが安全です。
自分の言い方で直せることがあれば、それも1行入れておきます。自分の側の出来事も書いてあると、相手を悪者にしたいのではないと伝わりやすいと思います。
変えるのは一部からでいい
ペアの変え方には段階があります。軽いものから頼むと、新人にも病棟にも説明がしやすいです。
- 夜勤のペアだけ外す
- 日々の指導者を交代制に
- 相談役だけ残す
- プリセプターを交代する
2つ目は、ガイドラインにある「チームの中で日々の指導者を配置する方法」です。ガイドラインは、マンツーマンのプリセプターシップを、新人が現場に出てすぐの「ごく初期の段階」で使うのが効果的だとしています。年度の後半に形を変えるのは、ガイドラインの考え方とも合います。
3つ目の「相談役だけ残す」は、決まった相談相手を置いて、日々の指導は別の人とペアで受け持つ方法です。ガイドラインではチューターシップと呼ばれています。
別の先輩を何回かフォローにつけるときは、師長と副師長に相談して業務割を調整している。(知恵袋の回答の要旨)
言い方はこの形です。「来月の夜勤だけ、新人さんとのペアを外してもらえますか。日勤は続けます」。離れることになったら、「離れたあと、わたしは新人さんに何をして、何をしないか」も、その場で決めてもらってください。
役を手放すときに残す紙
ペアが変わるときも、次年度に外れるときも、紙を残しておくと次の人が楽になります。新人が同じことを一から聞かれずにすむからです。
- 教えたこと、まだのこと
- できるようになった手技
- つまずきやすい所
- 伝わりやすかった伝え方
わたしが病棟を辞める前に作り直して引き継いだのも、新人の振り返りシートと指導マニュアルでした。役を降りる場面ではありませんでしたが、手放すときにすることは同じだと思います。
つまずいた所は、新人の評価としてではなく、次に教える人への申し送りとして書きます。「◯◯ができない」ではなく、「◯◯は2回いっしょにやると進む」という書き方です。
体に出ているとき、頼んでも動かないとき
体に出ているなら、頼み方より休むことと相談が先です。頼んでも数字が動かなかった人は、最後に次の職場の話を読んでください。
教える側が先に体調をくずすことは、あります。最初の章で紹介した、泣いて相談した5年目のプリセプターも、翌日は体調不良で休んでいました。病気かどうか、受診するかどうかの線を、わたしがここで引くことはできません。
確かめておけるのは、師長を通さない相談先です。常時50人以上が働く事業場には、産業医を選ぶ決まりがあります。
事業者は、産業医が働く人の健康相談に応じられる体制を整えるよう努めることになっています。自分の病院の申しこみ方は、就業規則か総務で分かります。



わたしは6年目に内科にかかったとき、月の夜勤の回数を伝えなかったので、数字のメモは受診にも持っていってほしいです。
休むことになった場合の順番は、看護師の適応障害と休職の進め方の記事に書きました。
ここからは、数字を出して頼み、見直しの日を過ぎても何も動かなかった人の話です。まだ1回も頼んでいない人には、早い話です。リーダーや委員会も重なっている人は、看護師の中堅が辞めたいときに確かめる順番の記事のほうが合います。
次の職場を探すなら、教える役のことを先に聞きます。
- 教育担当者は部署に何人か
- 指導者向けの研修はあるか
- ペアの日の受け持ちは何人か
わたしは2回目の転職で、「日勤のみ」を絶対の条件としてはっきり伝えました。指導の役についても、聞きたい条件を先に言葉にしておくのは同じだと思います。
そのとき使ったのがMCナースネットです。公式サイトでは、1日単位の仕事から短期・長期の派遣、常勤の転職まで扱っていると書かれています。わたしの使い方は、次の順番でした。
- 派遣で介護施設などの日勤へ
- 日勤なら続けられると確信
- 同じ担当の紹介で病院の外来へ
使ってみて気になった点は、MCナースネットの評判の記事に分けています。プリセプターがつらいだけで、病棟の看護は好きだという人は、転職より先に頼むほうが、失うものが少ないと思います。
担当していた新人が辞めることになって自分を責めている人は、看護師の後輩が辞めるときの記事を先に読んでください。
看護師がプリセプターをやめたいときのよくある質問
- 看護師はプリセプターを年度の途中でやめられますか?
-
病棟の運用しだいで、役を全部降りるのは通りにくいと思っておくほうが安全です。読んだ本人の投稿6件に、途中で自分から降りたいと頼んだ結果を書いた人はいません。途中でペアが離れた1件も、新人の申し出によるものでした。先に、受け持ちを1人減らす、夜勤のペアを外す、といった一部の変更から頼むほうが話しやすいと思います。
- プリセプターをやめたいと師長に言うのは、看護師としてわがままですか?
-
わがままだとは思いません。厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインは、指導者に求められる姿勢を書いています。困難を感じたら、教育担当者や部署管理者に相談し、助言を求める、という内容です。
- プリセプターは業務命令だから拒否できないと言われました。看護師は従うしかないですか?
-
業務命令にあたるか、断るとどう扱われるかは、就業規則と病院の決まりで変わるので、ここでは線を引けません。受けるかどうかの話を、条件の話に移すことはできます。ペアの日の受け持ち人数、記録を書く時間、相談先の3つを確かめてください。
- プリセプターを2年続けて頼まれました。やめたい看護師は断れますか?
-
断れるかは病棟しだいですが、名前が挙がる前に伝えるほうが話しやすいです。読んだ6件のうち2件が、2回目以上を頼まれた人でした。何回目なのかと、前の年に増えた残業時間を、数字で伝えてみてください。
- 退職の予定がある看護師がプリセプターを任されたら、どうすればいいですか?
-
退職の予定を、先に上司へ伝えてください。知恵袋には、プリセプターの1年間は異動の対象から外れるので予定も考えて選ぶ、という回答がありました。1つの病院の話です。伝えたうえで任されたのなら、交代の時期と引き継ぎの形を決めてもらえば足ります。
- プリセプティと合わない看護師は、プリセプターを交代してもらえますか?
-
交代まで行かなくても、一部を変えてもらう方法があります。夜勤のペアだけ外す、日々の指導者を交代制にする、相談役だけ残す、の順に頼んでみてください。「合わない」ではなく、日付のついた出来事を3つ持っていくと話が進みやすいです。
- プリセプターをやめたいほどつらいのは、看護師として能力が足りないからですか?
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そうとは言えないと思います。読んだ6件では、新人への不満より、師長や先輩、病棟のやり方について書いた人のほうが多くいました。ガイドラインも、直接の指導者だけでなく、部署のスタッフ全員が新人を見守る体制を望ましいとしています。
- プリセプターの指導記録を勤務のあとに書いています。看護師の残業になりますか?
-
厚生労働省のガイドラインは、使用者の指示で業務に必要な学習などをしていた時間を、労働時間として扱うとしています。あてはまるかは1つずつ判断されるので、だれの指示か、勤務時間の中に書く時間があるかを確かめてください。申請していない時間は、別に数えておくと頼むときに使えます。
- プリセプターが病むのはおかしいですか?やめたい看護師はどこに相談できますか?
-
おかしくはないと思います。初めてのプリセプターが泣いて相談し、翌日は体調不良で休んだ、という先輩側の投稿を読みました。常時50人以上が働く事業場には、産業医を選ぶ決まりがあります。師長を通さない相談先があるかを、就業規則か総務で確かめてください。
- プリセプターをやめたい気持ちから、看護師の仕事そのものを辞めたくなりました。どう考えればいいですか?
-
先に、役を軽くしてほしいと数字で1回頼んでみてください。それでも動かないときに、職場を変える話に進めば間に合います。切り出せずにいる人には、師長に辞めたいと言えない看護師に向けて書いた記事が近いです。
まとめ:看護師がプリセプターをやめたいときは、数字と頼みごと1つから
プリセプターを年度の途中で全部降りるのは、通りにくいと思っておくほうが安全です。でも、減らす、ペアを変える、次年度は外れる、は頼めます。読んだ6件には、数字を出して頼んだと書いた人がいませんでした。
- 全部降りるは通りにくいかも
- 次年度は早めに条件を出す
- 頼む前に5つを数える
- 頼みごとは1つにしぼる
- 教えるのは1日1つでいい
- ペアは一部から頼める
わたしの残業はじわじわ増えましたが、何時間増えたかの数字は、ここには書けません。今夜は、先月の残業時間を1つ、メモに書くだけで足ります。頼む言葉は、そのあとで間に合います。








