「イベントナース、楽しそう」と「救護室にわたし1人って怖すぎ」の間で、応募の指が止まってませんか。夜勤明けの布団の中で、わたしも同じ検索をしていました。
結論から言うと、イベントナースのきつさは体力じゃないです。何も起きない時間の長さと、起きた瞬間の落差。この2つに尽きます。
わたしはあさこ。急性期の内科外科混合病棟で7年働いて、退職後の無職期間にMCナースネットの単発で市民マラソンの救護テントに入りました。9時間の拘束で対応は6件。でもそのうち1件で、心臓がきゅっとなりました。
この記事では、その1日をまるごと時系列で書きます。読み終わる頃には「自分に務まるか」の答えが出ているはずです。
- 急性期病棟で7年(3交代・月10回前後の夜勤)
- 夜勤に潰れかけ、転職2回・うち1回失敗
- 2回目で日勤のみの外来へ。年収370→430万
- 看護roo!・レバウェル・ナース専科の3社を利用
- 今は猫のベルと、夜ちゃんと眠れる生活
「同じ失敗をしてほしくない」と、夜勤ナースのリアルを本音で書いてます。
イベントナースがきついと言われる5つの理由

先に、きつさの正体からいきますね。「楽そう」のイメージで行くと、一番ここで落差を食らうので。
ひとつずつ見ていきます。
何も起きない時間が長い

イベントナースの1日は、待機が8割です。わたしのマラソン救護は9時間拘束で対応6件。残りの時間はずっと、テントの中で入口を見ていました。
病棟の「忙しくてきつい」の真逆で、暇すぎてきついんです。スマホを触れない現場も多くて、時計を見る回数だけが増えていきます。
忙しさで頭を埋めてきた病棟ナースほど、この静けさが苦手です。「わたし、ここにいる意味あるのかな」って考え始めたら、待機時間は倍の長さに感じます。
急変の初動は自分から

待機の反対側にあるのが、この怖さです。救護所に医師が常駐する大会もありますが、テント単位で見ると最初に動くのは看護師という現場が多いです。
わたしの現場は、テントにわたしとベテラン看護師さんの2名、本部に医師1名という体制でした。目の前で人がふらついたとき、観察して、報告して、救急要請を進言するかどうか。初動の数分は自分たちの判断です。
病棟ならナースコールひとつで人が集まります。あの「後ろに誰かいる」感覚がない場所で働くのは、経験年数があっても緊張しました。
暑さ寒さが直撃する

屋外イベントの救護テントに、空調はありません。夏フェスの救護に入った元同僚は「熱中症のランナーより先に自分が倒れそうだった」と言ってました。
冬の屋外も底冷えします。カイロを貼っても、パイプ椅子から伝わる冷たさは防げません。
体調管理も仕事のうちというより、体調管理が一番の仕事になる日もあります。屋内のコンサートや展示会なら快適ですが、案件は選べるとは限りません。
拘束が長くて時給は普通

イベントナースの時給は1,300〜1,800円が中心です。夜勤手当ありの病棟給与と比べると、正直、稼げる仕事ではないです。
わたしの現場は時給1,400円×8時間で日給11,200円+交通費。集合は朝6時半だったので、起きたのは4時台でした。移動と拘束を全部足して時給換算し直すと、うーん、という数字になります。
「高給バイト」を期待して来ると裏切られます。お金目的なら、単発なら健診やワクチンの方が効率はいいです。
設備も薬も病院より少ない

救護テントの中身は、想像よりずっと質素です。わたしのテントにあったのは、だいたいこれだけでした。
- 血圧計・体温計・パルスオキシメーター
- AED・担架
- 氷・冷却スプレー・経口補水液
- 絆創膏・包帯・テーピング類
点滴もルート確保もありません。「観察して、冷やして、飲ませて、あとは搬送判断」。できることが少ないからこそ、見極めだけは外せないというプレッシャーがあります。
悩む女性病棟より楽かと思ってたのに、別の種類のきつさなんですね…
マラソン救護に入ったわたしの1日(実録)


ここからは、わたしが30歳の秋に入った市民マラソン救護の1日を、そのまま時系列で書きます。求人票ではわからない部分です。
朝から順番にいきますね。
朝6時半、テント設営から


集合は会場に朝6時半。無職期間で生活リズムが崩れていたわたしには、4時起きがまずきつかったです。
着いたら救護テントの設営と物品チェックから始まります。ペアのベテラン看護師さんと「AEDここ、担架こっち」と配置を決めて、本部の医師に挨拶して、無線の使い方を教わって。
この準備の30分で、ちょっと安心したのを覚えています。ひとりぼっちで放り込まれるわけじゃないんだ、って。スタート号砲が鳴ったのは9時でした。
午前は「何もない」との戦い


号砲のあと、最初の2時間は誰も来ませんでした。テントの前を走る人の足音と、遠くのアナウンスだけが聞こえます。
最初は新鮮でした。でも1時間を過ぎたあたりから、時間の進みが遅くなります。ペアの方と小声で雑談しながら、入口から見えるコースをずっと目で追っていました。
11時ごろ、最初の来客。ふくらはぎがつった50代の男性でした。ストレッチと冷却で笑顔で戻っていって、「あ、この仕事、人がすぐ元気になるんだ」と少しうれしくなりました。続けて擦り傷の処置が2件。ここまでは、穏やかなものです。
昼過ぎ、熱中症で空気が変わる


13時前でした。スタッフさんに肩を借りた40代の男性が運ばれてきて、テントの空気が一瞬で変わりました。
顔が赤くて、呼びかけへの返事がワンテンポ遅い。秋なのに気温が上がった日で、嫌な予感がしました。日陰に寝かせて、脇と首を氷で冷やして、バイタルを測って。脈が速い。意識レベルの確認をしながら、「これは救急要請までいくやつかもしれない」と頭の中で何度もシミュレーションしていました。
本部の医師に無線で報告して、救急要請の方針に。救急車が来るまでの十数分、手は動いているのに口の中はからからでした。搬送後に男性が回復したと聞いたときは、ペアの方と顔を見合わせて、はーっと息を吐きました。病棟で急変対応は何度もやってきたのに、設備のない場所の数分間はこんなに長いのかと思いました。
夕方の撤収と日給の中身


最終ランナーが通過して、15時半に救護終了。テントをたたんで、記録を書いて、16時前に解散でした。
対応は結局6件。足つり、擦り傷、気分不良、そして熱中症の搬送1件。日給は11,200円+交通費です。
帰りの電車で、疲れてるのに変に目が冴えてました。「きつかったけど、看護師の原点みたいな1日だったな」というのが、いちばん正直な感想です。誰かの体調を守るためだけに、そこにいる。病棟では忘れかけていた感覚でした。



「何かあったらどうしよう」は、あって当たり前の感覚でした。ゼロにはならないです。
それでも人気な理由。きつさと引き換えの魅力3つ


きつさを先に書きましたが、イベントナースの単発が人気で取り合いになるのには、ちゃんと理由があります。
わたしが感じた順に並べますね。
人間関係が1日で終わる


これが最大の魅力だと思います。ペアの看護師さんとは初対面で、その日限り。合っても合わなくても、17時にはさよならです。
病棟の人間関係に疲れた人ほど、この軽さは効きます。委員会も、申し送りの空気も、お局さんの機嫌もありません。
わたしは運よく優しい方とペアでしたが、仮に苦手な人でも「今日だけ」と思えば流せます。しがらみゼロで看護だけをする日って、思った以上に気持ちが軽いです。
夜勤ゼロで生活が崩れない


イベントは基本、日中に開催されます。朝は早いけれど、夜通し働くことはまずありません。
夜勤で自律神経がぼろぼろだったわたしには、「日が出てる間に働いて、夜に眠る」だけでごほうびでした。単発なので、入れたい日だけ入れられるのも大きいです。
本業の休みに月1回だけ、みたいな使い方をしている人も多いです。連勤の合間に入れると体は回復しないので、そこだけ注意です。
非日常の現場に立てる


マラソン、フェス、コンサート、花火大会。働く場所が毎回イベント会場というのは、病院にはない楽しさです。
コンサート救護の経験がある元同僚は「客席は見えない救護室勤務だったけど、開演の歓声が壁越しに響いてきて、鳥肌が立った」と話してました。推しのステージは見られなくても、あの空気の中にいられるだけで違うそうです。
ちなみに観覧目的だと確実にがっかりします。仕事はあくまで救護で、イベントを楽しむ側には回れません。そこを割り切れる人には、最高のスパイスです。
同じ単発でも、宿泊を伴う添乗は負担の質が変わります。救護テントとの違いはツアーナースのきつさを分解した記事で比べたので、次に何を受けるか迷っている人はそちらもどうぞ。
イベントナースに向いている人・やめた方がいい人


1日やってみて、この仕事は向き不向きがはっきり分かれると感じました。正直に仕分けします。
順番にいきますね。
向いている人の特徴


まず、向いているのはこういう人です。
- 待機の暇に耐えられる人
- 初動の判断から逃げない人
- 臨床経験が3年以上ある人
- 単発で気分転換したい人
共通するのは「自分の判断で立っていられる人」です。誰かの指示を待つ働き方より、任される働き方が好きな人には合います。
やめた方がいい人の特徴


逆に、こういう人は1日で後悔すると思います。
- とにかく稼ぎたい人
- イベントを観覧したい人
- 急変対応がまだ怖い人
- じっとしているのが苦手な人
とくに観覧目的は本当にやめた方がいいです。救護室から出られないまま終演を迎えて、「お金をもらって推しの近くで缶詰になっただけ」になります。
迷ったら1回だけ試す


どっちか判断できない人は、1回だけ入ってみるのが早いです。単発なので、合わなければ二度と入れなければいいだけですし。
わたしも「向いてるかわからないけど、1回なら」で申し込みました。結果、毎週やる仕事ではないけど、たまになら最高、という自分なりの答えが出ました。
1回分の経験は、転職の面接で「病棟外の現場も経験しました」と話せる材料にもなります。損はないです。



「1回だけお試し」ができるのが単発の良さです。
イベントナースの単発求人の探し方と受かるコツ


最後に、いちばん質問が多い「どこで見つけるの?」です。ここでつまずく人が実は一番多いです。
順番に説明しますね。
求人は派遣会社の単発枠


イベントナースの求人は、ハローワークや普通の求人サイトにはほぼ出ません。単発・派遣に強い会社に登録して、その中の案件として紹介される形が基本です。
わたしが使ったのはMCナースネットです。登録しておくと単発案件の一覧からイベント救護を選べて、マラソンの件もここで見つけました。詳しい使い勝手はMCナースネットの評判・口コミに書いています。
あと、日本イベントナースセンターのようなイベント救護専門の会社もあります。首都圏の案件が中心なので、住んでいる地域によって使い分けるといいです。
人気案件は秒で消える


ここが最大の関門です。イベントナースの単発は人気が高くて、募集が出た日のうちに埋まる案件がざらです。
コツは3つ。①登録を先に済ませておく(案件が出てから登録では間に合わない)②求人通知やアプリの新着を朝と夜にチェックする③最初は人気の低い平日案件や地味な大会で実績を作る、です。
派遣会社側も「一度入って問題なかった人」に次を回しやすいので、1件目のハードルを下げるのが近道です。わたしも華やかさゼロの市民マラソンからでした。
経験年数と応募条件の目安


目安として、臨床経験3年以上を求める案件が多いです。急変の初動を任せられるか、という理由なので納得ではあります。
BLS(一次救命処置)の資格があると選考で有利になります。わたしは病棟時代に取ったものがそのまま効きました。
准看護師さんは応募できる案件が絞られます。ゼロではないので、登録時に担当へ「准看で入れるイベント案件はあるか」を先に聞いておくと、無駄打ちしなくて済みます。



わたしは通知を朝イチで見て申し込みました。早い者勝ちです。
イベントナースのきつさに関するよくある質問


- イベントナースは何をする仕事ですか?
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イベント会場の救護室・救護テントで、来場者や参加者の体調不良やケガに対応する仕事です。処置よりも、観察と搬送判断が中心になります。
- イベントナースはきついですか?楽ですか?
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体力的には病棟よりずっと楽です。そのかわり、長い待機時間と、急変時に初動を担う緊張感という別のきつさがあります。
- 経験は何年くらい必要ですか?
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臨床経験3年以上を目安にする案件が多いです。1〜2年目だと紹介される案件が減りますが、まず単発派遣に登録して相談する価値はあります。
- 准看護師でもイベントナースになれますか?
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案件は絞られますが、准看護師可の現場もあります。登録時に担当者へ確認するのが確実です。
- コンサートやジャニーズ系の現場にも入れますか?
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あります。ただし人気が飛び抜けていて、募集は即埋まりです。仕事場所は客席ではなく救護室なので、ステージはほぼ見られません。
- イベントナースの給料はいくらですか?
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時給1,300〜1,800円、日給だと1〜1.5万円前後が中心です。わたしのマラソン救護は時給1,400円で日給11,200円+交通費でした。
- 仕事中にイベントは楽しめますか?
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楽しめないと思っておいた方がいいです。救護室から出られない現場が多く、会場の空気を感じられたらラッキーくらいの温度感です。
- 副業でやると本業の職場にバレませんか?
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住民税の扱いによってはバレる可能性があります。対策は看護師の単発バイトは職場にばれる?で詳しく書いています。
- ブランクがあっても働けますか?
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処置が少ない現場なら可能性はあります。ただ急変対応への不安が強いうちは、まず健診など判断の軽い単発から慣らす方が安全です。
- 急変対応で事故になったら責任は誰が取りますか?
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派遣会社経由なら派遣元・派遣先の保険体制があります。登録時に賠償責任保険の有無を必ず確認しておくと安心です。
まとめ:イベントナースのきつさは「落差」。でも1回はやる価値あり


イベントナースのきつさは、忙しさではなく落差です。何も起きない長い待機と、起きた瞬間の緊張。ここに耐えられるなら、病棟にはない気持ちよさがある仕事でした。
稼げる仕事ではないです。でも、しがらみゼロで「誰かの体調を守るためだけにそこにいる」1日は、すり減った看護師の心に効きます。わたしはやってよかったです。
求人は先に登録しておいた人から埋まっていきます。気になった今のうちに単発の枠だけ確保しておいて、通知が来たら選ぶ。それくらいの気軽さで始めるのがちょうどいいですよ。









