今日も座れないまま勤務が終わって、給与明細を見たら休憩の時間だけはきっちり引かれていませんでしたか。
先に、いちばん伝えたいところを書きます。休憩を「取れなかった」ことより、取れていないのに引かれていることのほうが問題です。
引かれている時間にPHSを持って病棟にいたなら、それは休憩ではなく働いた時間として扱われます。
あさこまずは、自分の明細で引かれている休憩の分数を見てください
わたしはあさこ。急性期の内科外科混合病棟で7年、3交代で月10〜12回の夜勤をしていました。
- 準夜は16時から翌1時
- 深夜は0時から9時
- どちらも拘束9時間
- 法律上は1時間の休憩が必要
6年目の冬、深夜勤の途中で輸液の準備をしながら意識が遠のいて、ラベルの文字が一瞬読めなくなっています。
この記事で書くのは、次の3つです。
- 自分の職場が違法になる線
- 引かれた休憩が賃金に変わる条件
- 明日から始める記録の取り方
最後に、それでも職場が変わらなかった人のために、次の職場で休憩が取れるかを入る前ではなく入ってから確かめた話を書きます。
看護師が休憩を取れないのは違法か、線引きは4つです
取れていないという事実だけでは、違法かどうかは決まりません。分かれ目は4つあって、そのうち3つは自分の勤務表と給与明細だけで判定できます。
一つずつ見ていきましょう。
45分か1時間かの分かれ目
まず、自分の勤務に必要な休憩が何分なのかを確定させます。労働基準法34条1項は、労働時間ごとに必要な休憩を決めています。
| 労働時間 | 必要な休憩 |
|---|---|
| 6時間以下 (6時間ちょうどを含む) | 休憩ゼロでも 違法でない |
| 6時間超〜8時間以下 | 45分 |
| 8時間超 | 1時間 |
ここで見るのは所定の勤務時間ではなく、その日に実際に働いた時間です。
定時が8時間ぴったりの日勤でも、残業を15分すれば労働時間は8時間を超えます。その瞬間、必要な休憩は45分から1時間に上がります。
足りない15分を与えていない病院は、その日の勤務について34条違反です。
わたしがいた3交代で数えると、こうなります。
- 準夜は16時から翌1時(拘束9時間)
- 深夜は0時から9時(拘束9時間)
- 休憩45分だと働く時間は8時間15分
- 8時間を超えるので45分では足りない
つまり拘束9時間のシフトは、1時間の休憩が前提で組まれているシフトです。
2交代の16時間夜勤なら、必要な休憩は当然1時間以上になります。
日本看護協会の看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン、勤務編成の基準6には、こう書かれています。
「休憩時間は、夜勤の途中で1時間以上、日勤時は労働時間の長さと労働負荷に応じた時間数を確保する」



法律の下限と業界の目安が、夜勤については同じ1時間で並んでいます
2交代の人は、ここでもう1段だけ計算してください。16時間夜勤は、休憩2時間として組まれている病院が多いです。
法律が求める1時間を超えて病院が自分で2時間と決めているので、2時間まるごとが「与える約束をした休憩」になります。
- 約束した休憩は2時間
- 実際に座れたのは30分
- 与えられていない休憩は1時間30分
16時間夜勤の人は、金額が大きくなるのがここです。3交代の45分より控除の分数が多く、その時間帯がほぼ深夜に重なります。
次の章で計算しますが、深夜にかかる分には割増が付くので、1回あたりの差は3交代よりはっきり出ます。
自分の勤務が何分必要なのかは、この3つを並べれば出ます。
- その日の実労働時間
- 6時間超か8時間超か
- 残業をした日は上乗せ
途中に与えないと違法
分数と同じくらい大事なのが、いつ与えるかです。34条1項は休憩を労働時間の途中に与えなければならないと書いています。
始まる前や終わったあとにくっつけるのは、休憩を与えたことになりません。病棟でよくある形は、この3つです。
| よくある形 | 休憩としては |
|---|---|
| 終業後に回す (18時に「早く上がって」) | 途中ではなく 与えていない 日になる |
| 勤務の最後に寄せる (朝7時半から1時間休んで9時に上がる) | 途中とは 言いにくい |
| 細切れにする (5分ずつ9回で45分) | 分数のみ満たす 目的から外れる |
日看協のガイドラインが基準7で「夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定する」とわざわざ書いているのも、後ろに寄せても身体が回復しないからです。
細切れは、5分ずつ9回に分けて45分にすれば、条文の分数だけなら満たしてしまいます。ただ、休憩は疲労を回復させるために置かれているので、分割が細かすぎると本来の目的から外れます。
自分の職場がどちらなのかは、合計の分数ではなく、まとまって座れた時間が1回でもあったかで数えてみてください。
PHSを持つ時間は休憩外
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。休憩室に座っていても、PHSを持たされて呼ばれたら戻る約束になっているなら、その時間は休憩ではありません。
自分の休憩が休憩だったのかを判定する質問は「休めたか」ではありません。次の3つのどれかに当てはまるなら、その時間は労働時間の側に寄ります。
- PHSを持ったままだった
- 病棟から出るなと言われた
- 呼ばれたら戻る約束がある
34条3項は、休憩時間を自由に利用させなければならないと決めています。呼び出しに応じる義務がある状態は、自由に利用できている状態ではないです。
実際に呼ばれたかどうかは関係ありません。呼ばれる可能性に備えて待っている時点で、労働から解放されていないという扱いになります。
この考え方は、ビル管理会社の仮眠時間が争われた大星ビル管理事件(最高裁 平成14年2月28日判決)で示されています。
- 仮眠室で寝ていてよいことになっていた
- 警報が鳴れば対応する義務があった
- 作業していない時間も指揮命令下と判断
病棟のPHSは、この警報とほとんど同じ位置にあります。
わたしが病棟にいた7年、休憩の時間だけPHSを誰かに預ける仕組みは最後までありませんでした。預ける相手がいないというより、預けていいと思っていなかったです。
持っているのが当たり前すぎて、それが休憩を休憩でなくしていることに気づいたのは、病棟を離れてからでした。



持たされていた時間は、記録に残しておいてください
交代で休むのは違法でない
逆に、勘違いしたまま怒ってしまいやすいのがこちらです。「全員でいっせいに休憩に入れないのは違法だ」と聞いたことがあるかもしれませんが、病院には当てはまりません。
34条2項は休憩を一斉に与えるのが原則だと書いています。ただ、労働基準法40条と労働基準法施行規則31条で、いくつかの事業はこの原則から外されています。
- 外される事業に保健衛生が入る
- 病院は保健衛生の事業(13号)
- 労使協定がなくても交代で休憩OK
患者さんがいる場所で全員が同時に席を外せるわけがないので、当然といえば当然の話です。
問題にすべきなのは交代制そのものではなく、交代で回すと決めておきながら回す人数を置いていないことのほうになります。
日看協のガイドラインも、基準6の解説でそこに触れています。
- 人手が足りなければ休憩に入れない
- 夜勤帯は交代で休める配置にする
責任の所在が個人の要領ではなく配置にあると、業界団体自身が書いています。
2交代の病棟にいる人は、もう1つ見ておいてほしい点があります。同じガイドラインに載っている指摘です。
- 16時間夜勤を8時間×2日とみなす
- 変形労働時間制の手続きがない例が多い
- 誤解に基づく法令違反になる
休憩の分数以前に、勤務の組み方そのものが手続きを踏んでいない可能性があるということです。
引かれている45分は、働いた時間かもしれません
違法かどうかを知っただけでは、生活は1円も変わりません。ここからは、取れなかった休憩がお金の話に変わる条件を見ます。
順番に説明します。
明細で控除の分数を見る
最初にやるのは、給与明細と勤務表を並べて開くことです。見るのは支給額ではなく、1回の勤務あたり何分が休憩として引かれているかになります。
多くの病院は、実際に休憩に入ったかどうかを確認せずに、シフトごとに決まった分数を自動で引いています。
- 例:日勤は45分
- 例:夜勤は60分
- 打刻は出勤と退勤の2回だけ
- 休憩の実態は誰も記録しない
明細に休憩の記載がない病院もあります。その場合は就業規則か雇用契約書を見て、「休憩45分」と書いてあれば、その45分は働いていない時間として給与計算から外されています。
ここが、前残業がなかなか表に出ないのと同じ構造です。始業前の情報収集も休憩中のPHSも、記録が存在しないから無かったことになっています。
始業前のほうは看護師の前残業がサビ残になる線引きに書いたので、両方に心当たりがある人はあわせて見てください。
賃金が出る状態の条件
引かれている時間が賃金に変わるかどうかは、その時間に何をしていたかで決まります。ポイントは、働いた内容の重さではなく、自由だったかどうかです。
| その日の状態 | 扱い |
|---|---|
| 詰所でPHSを持ち、 呼ばれたら戻る前提 | 労働時間 (コールが鳴らなくても同じ) |
| 病棟を出てPHSを預け、 45分まるごと席を外した | 休憩 |
| 休憩室にはいるが PHSは持っている | 労働時間の側に 寄る可能性が高い |
待機している状態そのものが解放されていない状態です。短く感じても、自由に使えていた時間は休憩として数えます。
休憩室にいるけれどPHSは持っている、という形がいちばんよくある境目です。判断するのは最終的に病院ではなく労働基準監督署や裁判所です。
自分でどちらか決めつけずに、その日どちらの状態だったかだけを記録に残しておくのが正しいやり方になります。
自分の時給に掛けてみる
ここで一度、自分の数字を出してみてください。他人の平均ではなく、自分の明細から出した数字でないと、動く気になりません。
計算はこの順番です。
- 月給から除外できる手当を引く
- 月の所定労働時間で割る
- 引かれた休憩の合計を掛ける
1つ目でつまずきやすいので補足します。時給のもとになる金額から引けるのは、労働基準法37条5項と施行規則21条で挙げられている7つだけです。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとの賃金
夜勤手当や資格手当は、ここから引けません。全部引いてしまうと自分の時給を低く見積もることになるので、明細の項目を1つずつ確認してください。
1回45分でも、月に20回勤務すれば15時間です。
- 月に20回勤務で15時間
- 1年なら180時間
- 時給1,800円なら32万4,000円
これは自分の身体から出ていった分の最低ラインになります。
最低ライン、と書いたのは理由があります。引かれていた休憩が労働時間だったと認められると、その日の労働時間はそのぶん長くなります。
| 条件 | 単価 |
|---|---|
| 8時間を超えた部分 (残業) | 1.25倍の割増 の対象になりうる |
| 22時から翌5時に 入る時間 | 深夜の割増が さらに0.25上乗せ |
夜勤の休憩はほぼこの時間帯なので、単価は1.0ではなく1.25や1.5で計算する場面が出てきます。



最初は時給×時間の粗い計算で十分、「思っていたより大きい」を自分の数字で確かめてください
わたしが病棟にいたころの年収は370万でした。日勤だけの今が430万なので、数字だけ見ると夜勤をやめて上がっています。
- 当時は夜勤手当と深夜割増が大きい
- 基本給そのものは高くなかった
- 身体を削った分が手当で乗っていた
- 割り戻すと良い数字ではなかった
看護師の給料が上がらない理由のほうにも書きましたが、手当の比率が高い給与ほど、こういう見えない持ち出しが起きても気づきにくいです。
遡れる期間には限りがある
もう1つ、知らないまま損をする人が多いのが期限です。未払いの賃金を請求できる期間には上限があります。
2020年4月1日以降に支払日が来た賃金の時効は、3年です。
- 労働基準法115条の改正で本来は5年
- 当分のあいだ3年として運用
- 3年より前は証拠があっても取り戻せない
これを聞くと焦ると思います。焦ってほしいのは請求のほうではなく、記録を始める日を今日にすることです。
過去3年分の証拠を今から作ることはできませんが、今日からの記録は今日しか始められません。
請求するかどうかは、あとで決めればいいです。記録は請求のためだけに使うものではなく、職場と話すときにも、次の職場を選ぶときにも使えます。
3交代の病棟で、休憩が消えていく順番
ここまでが制度の話です。ここからは、なぜその制度が現場で機能しないのかを、自分がいた病棟の景色で書きます。
それぞれ詳しく見ていきます。
最初に消えるのは食べる時間
休憩はある日いきなり消えるものではなくて、順番に削れていきます。最初に無くなるのは、座って食べる時間です。
削られる順番には理由があります。
- 記録は申し送りがあり後回しにできない
- 処置は時間が決まっている
- 患者さんに呼ばれたら行くしかない
削れるものが自分の身体しか残っていないので、そこから減っていきます。順番はだいたい決まっていて、こう進みます。
- 座って食べる時間が消える
- トイレを後回しにする
- 水を飲むのをやめる
3つ目まで来ると、自分では気づけなくなります。喉が渇いている感覚そのものが鈍るからです。
夜勤でむくみやすいのも、動けないことより飲まないことのほうが効いているんじゃないかと、今は思っています。
削る人ほど頼りにされる
もっとやっかいなのは、休憩を削ることが病棟の中で評価に変わってしまうところです。ここが個人の努力では抜けにくい理由になっています。
| 休憩の取り方 | 病棟での見られ方 |
|---|---|
| 休憩を返上して残る | その日の病棟を回した人 感謝もされる |
| きっちり45分入って戻る | 忙しい時間に席を外した人 として記憶に残る |
誰も口には出さないのに、その空気だけは確実にあります。
新人が最初の数か月で覚えるのは、たぶん手技よりこの空気のほうです。わたしも1年目の途中から、休憩に行きますと言うときに少し声が小さくなっていました。
言い方を変えると、病棟ではこうなっています。
- 休憩を取らない人には報酬が出る
- 取る人には小さな罰が出る
制度が守られないのは当然です。だから「気にせず休憩に行きましょう」というアドバイスは、あまり役に立たないと思っています。
空気のほうを個人で変えるのは無理です。あとで書く記録の話をすすめているのは、空気ではなく事実のほうを動かせるからです。
夜勤帯は代わりがいない
日勤と夜勤では、休憩が消える理由が違います。日勤は忙しさで消えますが、夜勤は人数で消えます。
| 比べる点 | 日勤帯 | 夜勤帯 |
|---|---|---|
| 休憩中の PHS | 別の人が 持てる | 受け手の 総数が少ない |
| 受け手 | フリーやリーダーが 受ける日もある | 深夜2人なら、 1人が休むと 病棟は1人 |
1人で持つ側になったことがある人なら分かると思いますが、あの1時間は休ませてもらった側にも重いです。
自分が休むと相手が1人になると分かっているので、結局2人とも中途半端に起きている形になります。



交代で休むという言葉が成立するのは、回す人数が確保されている場合だけです
日看協のガイドラインが、人員が少なくなる夜勤帯こそ交代で休憩に入れるよう計画的に配置を、と書いているのはここを指しています。
配置の話なので、病棟の中で頑張っても解決しません。
仮眠の基準と現場の距離
休憩と仮眠は別のものとして扱われています。日看協のガイドラインも、休憩を基準6、仮眠を基準7として分けています。
基準7は「夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定する」という内容です。解説には、次の2点が書かれています。
- 連続2時間以上を検討すること
- 深夜0時から4時に置けると望ましい
理由は、2時間あれば深い眠りから浅い眠りへ移って目覚める、睡眠の1サイクルが入るからです。
浅い眠りから起きられると、寝ぼけた状態を避けられるので、医療安全の面でも望ましい、という書き方になっています。
3交代の準夜と深夜には、この仮眠が構造的に入りません。
| 勤務 | 夜中の仮眠に当たる時間 |
|---|---|
| 2交代の16時間夜勤 | 夜中に仮眠が入る |
| 3交代の準夜 | 翌1時に終わる |
| 3交代の深夜 | 0時から始まる |
つまり、2交代で言う「夜中の仮眠」に当たる時間が、勤務そのものの切れ目になっています。
3交代のほうが1回あたりは短いのに、夜勤明けの回復に時間がかかる人が多いのは、ここも関係していると思います。
三交代そのものを続けるか迷い始めたら、三交代を辞めたいときに勤務表で数える6つも役に立つはずです。
眠れないまま次の夜勤が来る話は、夜勤前に眠れないときの準夜と深夜の寝方に書きました。休憩が取れない話と根っこは同じで、身体を休ませる時間だけが調整弁にされている、という構造です。
明日の勤務からできる、休憩を取り戻す手順
ここからは、今の職場にいながらできることを順番に並べます。上から順にハードルが上がるので、1つ目だけで止めてもかまいません。
以下、それぞれの中身を書きます。
まず1週間だけ記録する
今日から始められて、誰にも気づかれないのがこれです。スマホのメモでいいので、勤務が終わったら1行だけ残してください。
残す内容はこの4つです。
- 日付と勤務の種類
- 休憩に入った時刻と戻った時刻
- PHSを持っていたか
- 呼ばれた回数
1日30秒で終わります。大事なのは、その場で書くことです。
あとでまとめて書いた記録は、正確さが落ちるうえに証拠としての価値も下がります。
勤務が終わって着替える前に、更衣室で打つのが続けやすいです。



数字が出てくれば、もうそれは体力の話ではありません
1週間続けると、頭の中の「取れていない気がする」が、数字に変わります。ここが大きいです。
感覚のままだと、人に話すときも自分で次を考えるときも「わたしが弱いのかも」に戻ってしまいます。
この記録は、あとで何にでも使えます。使い道は、この3つです。
- 職場に出す材料
- 未払い賃金の証拠
- 次の職場を選ぶ自分の基準
使い道を決めないまま、とりあえず1週間だけ取ってみてください。
交代の順番を先に決める
記録の次にやるとしたら、勤務が始まる前の30秒です。申し送りが終わったところで、その日の休憩について、順番だけ決めてしまいます。
「わたし12時からもらいますね、戻ったら交代します」と先に言ってしまうだけです。
先に宣言する理由は、この2つです。
- 落ち着く瞬間は、待っていても来ない
- 先に宣言すると周りも予定として見る
効くのは、休憩を「自分の権利」ではなく「病棟の段取り」として置き直せるところです。
| 言い方 | 病棟の空気に対して |
|---|---|
| 「自分の権利」 として主張する | 空気に負ける |
| 「病棟の段取り」 として確認する | 誰も止めない |
前に書いたとおり、病棟の空気は個人では変えられないので、空気に触らない言い方を選ぶほうが早いです。
うまくいかない日ももちろんあります。それでも、宣言した日と宣言しなかった日で結果が変わるかどうかは、さっきの記録に残ります。
自分の病棟で何が効くのかは、他人のアドバイスより自分の1週間のほうが正確です。
PHSを預ける相手を作る
休憩を休憩にするために必要なのは、時間よりもPHSを手放すことです。ここが動かないかぎり、何分もらっても待機のままになります。
やり方は、休憩を交代する相手とペアにするだけです。
- 自分が入るときは相手に預ける
- 相手が入るときは自分が持つ
- 1対1なら毎回誰に頼むか考えない
夜勤で2人しかいない日は、正直これが成立しません。成立しないという事実そのものが、配置が足りていない証拠になります。



そういう日は、「持ったまま休憩とされている」と記録に残してください
あとで職場に出すときに、いちばん効くのがこの行です。
ちなみに、預ける仕組みが既にある病棟は実在します。わたしは7年いてそれを知らなかったので、外に出るまで「PHSは持っているのが当たり前」だと思っていました。
当たり前は病棟ごとに違います。
師長より人事と衛生委員会
記録が1か月たまったら、出す先を考えます。ここで多いのが、師長に言って終わってしまうパターンです。
師長に人を増やす権限はありません。だから師長に出しても、返ってくるのは「ごめんね、なんとかするから」までです。
悪意ではなく、権限の外だからそれ以上は出せません。わたしが退職願を出したときも、紙が止まったのは師長の机でした。
出す先として現実的なのは3つです。
- 人事課または総務課
- 衛生委員会
- 労働組合がある病院は組合
2つ目の衛生委員会は、常時50人以上が働く事業場に設置が義務づけられている会議体です。
- 職員の健康障害の防止を調べて審議する
- 月1回以上開かれている
- 議事の概要を職員に周知する決まり
休憩が取れていない実態は、まさにここで扱う議題になります。委員が誰なのかは、イントラか掲示板に出ているはずです。
師長を飛ばすようで気が引ける人は、師長に伝えたうえで同じものを人事にも置く順番にしてください。
順番を守っていれば抜け駆けにはならないです。この順番の考え方は、師長に辞めたいと切り出すときの順番と同じになります。
労基署へ行く前に揃えるもの
院内で動かなかった場合の外部窓口が、労働基準監督署です。行く前に揃えておくものがあります。
持っていくのはこの4つです。
- 勤務表のコピー
- 給与明細(数か月分)
- 就業規則の休憩の条文
- 自分でつけた休憩の記録
4つ目がいちばん効きます。前の3つは病院側が作った書類なので、そこには「休憩45分」としか書かれていません。
実態と書類が違うことを示せるのは、自分の記録だけです。
相談したことが職場に伝わるのが怖い、という気持ちは分かります。
- 労基法104条2項で不利益取扱いは禁止
- 匿名での情報提供もできる
それでも病棟が狭い世界なのは事実です。ここまで進むかどうかは、自分の消耗の度合いと相談して決めてください。
そのあと何が起きるのかも書いておきます。監督署が調べて違反があると判断すれば、病院に是正勧告が出る流れです。
- 勧告そのものに強制力はない
- 期限を切って是正報告を求められる
- 休憩の運用や未払いが動くことはある
休憩を与えなかったこと自体にも罰則があります。労働基準法119条では、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と決められています。
あと1つ、心配しなくていいことを書いておきます。自分が何時に休憩へ入って何時に戻ったかをメモに残すのは、隠れてやるようなことではありません。
自分の労働時間の記録なので、就業規則に引っかかる性質のものではないです。守ることは2つです。
- 患者さんの情報は書かない
- 書く場所を病棟の中にしない
正直に書くと、わたしはここまで行っていません。7年いて、休憩が取れないことを誰かに申し出たことは一度もなかったです。
記録も取っていませんでした。だからこの記事で記録の話をしつこく書いているのは、自分が持っていなかったものだからです。
職場が変わらなかったときに、次をどう確かめるか
ここまでやっても、病棟の配置が変わらないことのほうが多いです。人を増やすのは病棟ではなく経営の判断だからで、自分の側に落ち度があるわけではありません。
具体的に説明します。
求人票に休憩は出てこない
次を探すときに最初にぶつかるのがここです。求人票の休憩欄には、ほぼ例外なく「60分」と書いてあります。
- 書いてあるのは制度上の分数
- 就業規則の記載がそのまま転記
- 取れているかは求人票の外の情報
夜勤回数も残業時間も同じで、求人票に出てくるのは制度の数字だけです。わたしは1回目の転職で、まさにここで失敗しています。
- 大手のエージェント1社だけに依頼した
- 「夜勤少なめ」が月何回か確認しなかった
- 入職したら夜勤は月8〜10回
- 前の病棟とほとんど同じ
- 1年で辞めた
休憩はもっと分かりにくいです。夜勤回数はまだ数字として存在しますが、休憩の実態は誰も数えていないので、聞いても答えが出てこない情報になります。
面接で聞いても答えは出ない
では面接で聞けばいいのかというと、これも空振りに終わりやすいです。聞かれた側が本当に知らないからです。
- 面接に出るのは看護部長や師長
- 今は病棟の日勤帯で休憩に入っていない
- 自分の休憩の実態も測っていないことが多い
「交代でしっかり取れていますよ」という答えが返ってきます。嘘をついているわけではなく、記録が存在しない以上そう答えるしかないです。
それでも聞くなら、取れているかどうかではなく、仕組みがあるかどうかを聞いてください。
- 休憩中のPHSは誰が持つか
- 夜勤帯の休憩の回し方
- 仮眠室があるかどうか
この3つは事実なので答えが出ます。1つ目で「各自が持ったままです」と返ってきたら、その病院の休憩は待機です。その場で分かります。
中に入って確かめるしかない
結局、休憩が取れる職場かどうかは、中に入って1日過ごさないと分かりません。わたしが2回目の転職でやったのがそれでした。
1回目で大手1社しか見なかった反省があったので、2回目はやり方を変えました。
- MCナースネットに登録
- まず派遣で日勤の職場に入る
- 合うと確信してから正社員へ
- 同じ担当の紹介で切り替え
- 担当が年収交渉まで対応
- 370万から430万になった
- 比較のためジストリーにも登録
派遣で入ると、面接では出てこない情報が全部見えます。見えるのは、たとえばこの3つです。
- 何時に昼を食べているか
- PHSを誰が持っているか
- 休憩室に人がいるか
その場に立てば、聞かなくても分かります。わたしが1回目で確認しなかった「少なめ」の中身も、見れば済みます。
今すぐ登録してください、という話ではないです。ただ、求人票と面接だけで決めると、わたしの1回目と同じことが起きます。
MCナースネットで自分の地域に日勤や派遣の求人があるかを見てみるところからでも、順番としては十分です。
求人の詳細まで見るには登録が要ります。夜勤がある人は、登録の時点で連絡の手段と時間帯を指定しておいてください。
そこを伝えないと、寝ている時間に電話が鳴ります。担当との相性や派遣から紹介へ切り替えたときの流れは、MCナースネットを使ったわたしの本音のほうに書きました。
単発なら1日で分かる
派遣も重いと感じる人には、単発という入り方もあります。1日だけ働いて、その病棟で休憩がどう回っているかを見て帰る形です。
単発は転職の下見として使えます。1日でも中に入れば、昼の時間に詰所がどうなっているかは見えます。



合わなければ次に行かなければいいだけなので、辞める判断より軽いです
わたしは1回目の病院を辞めたあとの無職の期間に、カイテクで食いつないでいました。
- 面接なしで当日から働ける
- 収入が途切れる不安を薄くできた
使い勝手の細かいところはカイテクの評判を調べた記事のほうにまとめてあります。
今の職場に在籍したまま単発で働く場合は、副業の可否を先に就業規則で確認してください。
住民税の扱いなど手前で詰めておく点があるので、看護師の副業が職場にばれない条件のほうを見てから動くほうが安全です。
深夜勤の途中で、文字が読めなくなった夜のこと
ここまで手順を書いてきたので、最後に自分の話をします。
6年目の冬でした。深夜勤で、0時に入って9時に上がる勤務です。拘束9時間なので、シフト表の上では1時間の休憩がついていました。
その夜のことを、順番にはあまり覚えていません。覚えているのは、輸液の準備をしていたときのことです。
- 手元のラベルの文字が一瞬読めなくなった
- 見えているのに意味にならない感じ
- 焦点は合っているのに薬剤名が頭に入らない
時間にしたら数秒だったと思います。先輩に「大丈夫?」と声をかけられて我に返りました。
ダブルチェックがあったので、実害は出ていません。
そのあと、ヒヤリハットを出すまでに3日迷いました。3日です。
- 患者さんに何かあったら、ではない
- 「夜勤ができない看護師」扱いが怖い
今思い出しても、いちばん恥ずかしいのはそこです。その頃のわたしは、月に10回から12回の夜勤を、準夜と深夜の組み合わせで回していました。
秋からは、準夜の出勤前にこうなりました。
- 玄関で靴を履くと吐き気と動悸
- 最初は月1回、冬前は準夜ほぼ毎回
- 実際に吐いたのは2回
- 生理は3か月止まっていた
そこまで来ていたのに、内科を受診したとき医師に言ったのは「最近眠れなくて」だけです。伝えていないのは、この2つです。
- 夜勤が月に何回あるか
- 出勤前だけ吐き気が出ること
自律神経でしょう、と言われて薬も出ませんでした。だから、あの時期のわたしの体調について、記録として残っているものは何ひとつありません。
休憩についても同じでした。取れていないことを、誰にも言っていません。
- 勤務表には休憩がついている
- 給与からはその分が引かれている
- 実態は残らないまま7年が過ぎた
今になって思うのは、あの夜に文字が読めなくなったのは、その日だけ寝不足だったから起きたことではない、ということです。
何年も、食べる時間と座る時間を最初に削っていって、そのやり方に身体が合わせるのをやめた日が、たまたまあの夜だったんだと思っています。
原因を1つに決められるほど単純ではないので、断定はしません。ただ、削っていたものは確実にそこにありました。
病棟を離れて、今の働き方はこうです。
- 今は内科の外来にいる
- 日勤だけで残業もほとんどない
- 昼は座って食べている
7年やっていたことが特別に過酷だったのか、どこでもそうなのかは、今も分かっていません。分かっているのは、記録がなく、あの7年を数字で語れないことだけです。
だから、この記事で伝えたいことは記録の話に寄っています。今の職場で戦うかどうかは、あとで決めていいです。
ただ、記録を取っていない期間は、あとから取り返せません。わたしが持っていないのは、まさにそこです。



今日の勤務の1行から始めてみてください
母には転職を事後報告しました。「夜勤やめたら給料下がるんでしょ」と言われて、「うん、ちょっとね」とだけ返しています。
文字が読めなくなった夜のことは、心配をかけるので今も話していません。
看護師の休憩についてよくある質問
休憩まわりで聞かれることが多いところをまとめました。
休憩5分しか取れないのは違法?
その日の労働時間が6時間を超えていれば、45分または1時間を与えていないことになるので労働基準法34条違反です。5分でも取れたから一部は満たした、という扱いにはなりません。足りない分はまるごと不足として数えます。
休憩中もPHSを持つのは休憩?
呼ばれたら戻る義務がある状態は、労働から解放されていないので休憩とは言いにくいです。実際に呼ばれたかどうかは関係ありません。その日PHSを持っていたかどうかを、記録に残しておいてください。
取っていない休憩分は取り返せる?
その時間が労働時間だったと認められれば、賃金の請求は可能です。ただし請求できるのは支払日から3年以内の分に限られます。まず自分の記録を作るところから始めてください。
一斉に休憩に入れないのは違法?
病院は一斉付与の適用から外されているので違法になりません。労働基準法40条と施行規則31条で、保健衛生の事業が除外されています。交代で回すこと自体ではなく、回す人数を置いていないことが問題です。
定時の日は45分休憩で足りる?
労働時間が8時間ちょうどなら45分で足ります。1分でも残業して8時間を超えた日は1時間必要になるので、その日は15分不足です。判定はその日ごとに行います。
まとめて45分早上がりは休憩?
なりません。休憩は労働時間の途中に与える決まりなので、終業後にくっつけても与えたことにならないです。早く上がれたこと自体はありがたいのですが、法律上は休憩を与えていない日として残ります。
16時間夜勤の休憩は何分必要?
法律上の下限は1時間です。日本看護協会のガイドラインも、夜勤の途中で1時間以上の休憩を確保することを基準に置いています。仮眠はこれとは別の基準として扱われていて、夜勤の途中に連続した仮眠時間を設定することが求められています。
休憩2時間でも30分しか座れない
法律の下限は1時間ですが、病院が2時間と決めている以上、与える約束をしたのは2時間です。座れなかった1時間30分は与えられていない休憩として数えます。深夜帯に重なっていれば、賃金に直すときの単価も上がります。
師長や主任にも同じ決まりが適用?
労働基準法41条2号の管理監督者に当たる場合は、労働時間・休憩・休日の規定が適用されません。ただし該当するかどうかは役職名ではなく、権限や待遇の実態で判断されます。深夜割増だけは管理監督者にも支払われます。
仮眠が取れないのも違法?
仮眠そのものを義務づける条文はないので、それだけでは違法になりません。日本看護協会のガイドラインで推奨されている位置づけです。ただし仮眠中もPHSを持って待機しているなら、その時間は労働時間として扱われる可能性があります。
師長に言っても変わらなかった
師長に人員を増やす権限がないので、そこで止まるのは自然です。次に出す先は人事課か衛生委員会になります。組合がある病院なら組合も窓口になります。
衛生委員会は誰でも使えますか?
常時50人以上が働く事業場に設置が義務づけられている会議体で、職員の健康障害の防止について審議する場です。月1回以上開かれ、議事の概要は職員に周知されます。委員の名前はイントラか掲示板で確認できます。
労基署に相談すると職場に伝わる?
申告を理由に不利益な取り扱いをすることは労働基準法104条2項で禁止されています。匿名での情報提供も可能です。それでも不安なら、まず記録を集めるところで止めておいても損はしません。
記録はどんな形で残せばいいですか?
スマホのメモで十分です。日付と勤務の種類、休憩に入った時刻と戻った時刻、PHSを持っていたか、呼ばれた回数の4つを1行で。あとからまとめて書かず、勤務の直後に打つのが大事です。
休憩が取れないのは要領のせい?
交代で休憩に回れるだけ人数を置くのは、病院側の仕事です。日本看護協会も、人員が少なくなる夜勤帯こそ計画的な配置が必要だとガイドラインに書いています。個人の速さで埋める前提になっている時点で、配置の問題です。
パートでも休憩の決まりは同じ?
同じです。労働基準法34条は雇用の形で区別していません。6時間を超えれば45分、8時間を超えれば1時間が必要になります。6時間ちょうどの契約なら休憩がなくても違法にはなりません。
転職先の休憩は面接で確かめられる?
取れているかを聞くと「交代で取れています」としか返りません。休憩中のPHSを誰が持つか、夜勤帯はどう回すか、仮眠室があるか、という仕組みのほうを聞いてください。こちらは事実なので答えが出ます。
入る前に職場の実態を見る方法は?
派遣や単発で1日入ってしまうのが早いです。わたしはMCナースネットでまず派遣から入って、合うと確信してから同じ担当の紹介で正社員に切り替えました。求人票では分からない部分は、中に立てば見えます。
有給も休憩も取れない。どちらから?
在職中なら休憩、辞めると決めているなら有給が先です。有給は退職日の決め方で消える日数が変わるので、有給が消化できないときの退職日の決め方を先に見てください。
まとめ:休憩は権利ではなく、給与から引かれた時間です
取れなかった休憩は、我慢の話ではなく、支払いの話です。引かれている以上、実態と違えばそこには差額があります。
あらためて、この記事の内容をまとめます。
- 6時間超45分・8時間超1時間
- 残業した日は1時間に上がる
- 終業後に回すのは違法
- PHS持ちは休憩ではない
- 交代で休むのは病院なら適法
- 引かれた分は賃金になりうる
- 夜勤の分は割増が乗る
- 遡れるのは3年まで
- 出す先は人事と衛生委員会
- 次の職場は中で確かめる
わたしは7年、記録を1行も取らずに辞めました。だから、あの期間に何分座れていたかを今も数字で言えません。
違法だったのかどうかも、確かめる手段がもう残っていないです。
今日やることは1つで足ります。今日の勤務について、メモに1行書いてください。
- 休憩に入った時刻と戻った時刻
- PHSを持っていたか
- 呼ばれた回数
これを1週間だけ続けると、感覚が数字に変わります。
そのうえで職場に出すのか、次を探すのかは、数字を見てから決めればいいです。順番はどちらでもかまいません。
少なくとも、自分の要領のせいだと思ったまま7年過ごすよりは、ずっと早く答えが出ます。
休憩の交代を頼む勤務の前は『交代の順番を先に決める』を、記録が1週間たまったら『労基署へ行く前に揃えるもの』を開いてください。わたしは記録を1行も残さずに辞めたので、あなたには数字が手元に残るようにしてほしいです。勤務の合間にも開けるところへどうぞ。
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