「目標、書いてきてね」と言われて、用紙の「目標・行動計画・評価基準」のうち右の2つが埋まらないまま夜になっていませんか。先に答えを置きます。看護師1年目の目標は「◯月までに・この手技を・指導の下で(Ⅱ)か一人で(Ⅰ)」と、月と到達の段階で区切ると、そのまま評価できる形になります。
この区切り方は、わたしの思いつきではありません。厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインが、1年以内に目指す項目と到達の段階を示していて、それを月ごとの到達目標に割って公開している病院もあります。下に、その目安の表と、3段で写せる例文18本、評価できないと返された目標の直し方、中間評価の欄の書き方を順に並べました。
わたしは急性期の病棟で7年働き、プリセプターとして新人を見ていた側です。1年目の自分が何を書いたかではなく、見る側にいて分かったことを書きます。
\最初にこの記事の結論/
看護師1年目の目標は「月・手技・到達段階」で区切る

看護師1年目の目標は、立派な言葉より「いつまでに・何を・どの段階まで」で書くと通ります。段階の物差しは、厚生労働省のガイドラインにすでにあります。
ガイドラインは、新人が1年以内に目指す項目に★を付け、到達の目安を4段階で示しています。Ⅳが「知識としてわかる」、Ⅲが「演習でできる」、Ⅱが「指導の下でできる」、Ⅰが「できる」です。Ⅰの「できる」は、指導がなくても自立して実施できるという意味で、1年目の項目には★Ⅱのものもあります。
つまり、1年たってもⅡ(指導の下でできる)でいい項目があるということです。看護記録を正確に書くことや、複数の患者さんの優先度を考えて動くことは、どちらも★Ⅱです。いつの時点で到達するかは各施設が決めるとされているので、自分の病院の表があれば、そちらがいちばん優先です。
この物差しを使うと、目標管理シートの3つの欄は次のように埋まります。2〜4年目の目標の記事も同じ欄の名前で例文を並べているので、2年目になっても同じ型で書けます。
| 欄 | 何を書くか | 1年目のコツ |
|---|---|---|
| 目標 | いつまでに・何を・どの段階まで | 「◯月までに」とⅡかⅠを入れる |
| 行動計画 | そのために毎日・毎回すること | 1回の勤務でできる大きさ |
| 評価基準 | どうなったら達成か | 回数・日数・チェック表の判定 |
| 根拠 | ガイドラインの項目名 | ★とⅠ・Ⅱを書き添える |
出典:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」の到達目標(表3・表4・表6)をもとに筆者が作成。2026年10月23日確認。
あさこ根拠の欄は用紙になくても、自分のメモに残しておくとプリセプターに説明しやすいです。
プリセプターに「なぜこの目標?」と聞かれたら、こう答えられます。「ガイドラインでは吸引は★Ⅰなので、前期は指導の下で、後期に一人でできるところを目標にしました」。根拠を先に言えると、目標の高さで迷われにくくなります。
看護師1年目の目標の単位は5つ|年・前期後期・月・出勤日・夜勤


書き始める前に、何の単位の目標を求められているかを確かめてください。病院によって、書かされる目標の大きさが違うからです。
知恵袋で、目標の書き方に困っている新人看護師本人の相談を読むと、求められている単位がばらばらでした。出てきたのは次の6つです。
- 1年後の姿を書く年間目標
- 毎日書く目標と日程
- 出勤日ごとの倫理的な目標
- 夜勤の目標
- 1か月で保清チェック全合格
- シャドーの前の目標と課題
単位を取り違えると、内容が正しくても「大きすぎる」「細かすぎる」と返されます。
目標と日程を毎日書くことになったけれど、日程は前日に翌日の予定を書くのか、その日にしたことを書くのか分からない、という相談がありました(2023年4月)。回答は、病院ごとに違うけれど、行動計画表と考えるなら前日に大まかに書いたほうがいい、というものでした。
単位ごとに、どこまで細かく書くかの目安を並べます。分け方は、ガイドラインの段階と相談の中身からわたしが整理したものです。
- 年間:到達の段階を書く
- 前期後期:ⅡからⅠへ1段上げる
- 月:手技1つと回数
- 出勤日:今日確かめること1つ
- 夜勤:報告する時刻を決める
迷ったら、プリセプターに「これは年間の目標ですか、今月の目標ですか」と1回だけ聞いてください。それだけで、書く大きさが決まります。



単位を聞くのは、恥ずかしいことではないです。
看護師1年目の月別到達目安(厚労省と病院の資料から)


区切りは1か月・3か月・6か月・1年の4つで考えると、目標の高さが決めやすいです。★の項目は1年以内に目安の段階へ届けばよく、途中のどの月に届くかは病院が決めます。下の表は、厚労省が例に挙げる評価の時期と、ある市立病院が公開している12か月の到達目標を並べたものです。
| 時期 | 厚労省の評価の考え方 | ある病院の月別目標 |
|---|---|---|
| 1か月 | 職場に慣れたかの把握と支え | 4〜5月:社会人・部署の環境に慣れる |
| 3か月 | 夜勤に向けた技術の修得を確認 | 6〜8月:根拠を考えながら実践する |
| 6か月 | 半年の修得度と1年への課題整理 | 9〜10月:チームの一員の実感をもつ |
| 1年 | 新人研修の修了を認定 | 11〜2月:役割と責任を果たす/3月:次年度の目標を立てる |
出典:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」の評価時期の例、綾部市立病院「新人看護職員12ヶ月間の到達目標」(同院サイトのPDF、2016年6月掲載)。2026年10月23日確認。
病院の列の月は、その病院の表に書かれた期間です。厚労省の4つの区切りの行に、近い期間を筆者が並べました。
この病院の表は、11〜12月の欄に「夜勤業務が理解でき、助言を受けながら実践できる」「不規則勤務の中で健康管理ができる」を入れ、3月の欄で「夜勤メンバーとしての責任と役割を果たす」としています。夜勤は秋の時点では「助言を受けながら」で、メンバーとしての役割は年度末に置く書き方です。
フォローアップ研修は1・2・5・8か月にあります。静脈注射は、課題を終えて院内の認定(8月1日の予定)を受けてから始める、とも書かれていて、手技によって始める時期を病院が決めていることが分かります。
目標の相談でも、ラダー1の取得を年間目標にするよう勧める回答がありましたが、レベルⅠの中身は病院で違います。ある大学病院のクリニカルラダーでは、新人はレベル0から始まり、新人ナースのレベルⅠを次のように決めています。
| 分野 | レベルⅠ(新人)の到達目標 |
|---|---|
| 実践 | 日常生活援助を安全・安楽に行う |
| 管理 | チームメンバーの役割と責任を果たす |
| 教育 | 学習目標を設定し、自立して取り組む |
| 倫理 | 看護者の倫理綱領を守る |
| 研究 | 文献や資料でケアの根拠を確かめる |
出典:北里大学メディカルセンター看護部「クリニカルラダー」(同院サイト)。2026年10月23日確認。一病院の例です。
自分の病院のラダー表や到達目標の表がもらえるなら、それが最優先の物差しです。もらっていないなら、上の2つの表を「ないときの目安」として使ってください。



1年目の3月に全部Ⅰになっていなくても、表の上ではおかしくないんです。
看護師1年目の目標例文18選(目標・行動計画・評価基準)


例文は、時期ごとに4つと、通年で書く2つに分けました。どれも、根拠の欄にガイドラインの項目名と段階を入れてあります。月や回数はわたしが置いた目安なので、手技の名前と一緒に自分の病棟に合わせて置き換えてください。
順番に見ていきます。
入職〜3か月:生活援助から


最初の3か月は、毎日くり返す生活援助をⅠ(一人でできる)にする時期です。ガイドラインでは清拭や食事介助は★Ⅰなので、1年目の最初の目標にいちばん置きやすい項目です。
例1:清拭とおむつ交換
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 6月末までに、全介助の患者さんの清拭とおむつ交換を、手順どおり一人で行える。 |
| 行動計画 | ケアの前に病棟の手順書を1回読み、終わったら抜けがなかったかを先輩に1つ聞く。 |
| 評価基準 | 6月末の技術チェックで、清拭とおむつ交換の判定が「Ⅰ」になる。 |
| 根拠 | 清拭★Ⅰ/部分浴・陰部ケア・おむつ交換★Ⅰ |
例2:むせやすい人の食事介助
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 7月末までに、むせやすい患者さんの食事介助を、姿勢を整えるところから一人で行える。 |
| 行動計画 | 介助の前に、体の角度・一口の量・飲み込みの確認の3つをメモで見てから始める。 |
| 評価基準 | 先輩の見守りで10回行い、そのあと一人で行ってよいと判定される。 |
| 根拠 | 食事介助(嚥下障害のある患者の例を含む)★Ⅰ |
例3:いつもと違う値に気づく
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 6月末までに、受け持ち患者さんのバイタルサインを測り、いつもと違う値をその場で先輩に伝えられる。 |
| 行動計画 | 勤務の始めに、受け持ちごとの「この人のいつもの値」をメモに書いておく。 |
| 評価基準 | 6月の勤務で、外れた値をその場で伝えられたと先輩に確認してもらう。 |
| 根拠 | バイタルサインの観察と解釈★Ⅰ |
3本とも書く必要はありません。いまの病棟で毎日出てくる援助から、1本だけ選べば足ります。
3〜6か月:夜勤に入る準備


ガイドラインは3か月後の評価を、夜勤に向けて必要な技術が身についたかを確かめる時期としています。この時期の目標は夜勤で一人になる時間に困らないための準備に寄せると、評価する側の見たいところと重なります。
例4:吸引を一人で
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 8月末までに、口腔内・鼻腔内の吸引を、準備から片付けまで一人で行える。 |
| 行動計画 | 吸引のたびに、前後の呼吸の音とSpO2を記録に残す。 |
| 評価基準 | 先輩の見守りで5回行い、そのあとは一人で行ってよいと判定される。 |
| 根拠 | 吸引★Ⅰ/パルスオキシメーターによる測定★Ⅰ |
例5:急変のときに人を呼ぶ
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 夜勤に入る前に、急変に気づいたらその場を離れずに応援を呼び、意識レベルを伝えられる。 |
| 行動計画 | 病棟での人の呼び方と救急カートの場所を、夜勤の前に先輩と一緒に確かめる。 |
| 評価基準 | 夜勤に入る前に急変対応の練習に1回参加し、応援を呼ぶ場面を先輩に見てもらう。 |
| 根拠 | 意識レベルの把握★Ⅰ/チームメンバーへの応援要請★Ⅰ |
例6:夜勤の流れを書き出す
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 夜勤デビューまでに、病棟の夜勤の時間ごとの仕事を自分で書き出せる。 |
| 行動計画 | シャドーの夜勤で、先輩が動いた時刻と中身を1時間ごとにメモする。 |
| 評価基準 | 書き出した流れ表を先輩に見てもらい、抜けを2つ以下にする。 |
| 根拠 | 業務の基準・手順に沿って実施する★Ⅰ/3か月後評価の考え方 |
3交代なら準夜と深夜で、2交代なら1回の夜勤の中で、時刻の区切りが変わります。自分の病棟の勤務帯に合わせて書き出してください。
6〜9か月:受け持ちを増やす


半年を過ぎると、受け持ちの人数が増えて「全部を一人で」は追いつかなくなります。この時期は★Ⅱの項目を、無理にⅠで書かないのが大事です。
例7:処置の順番を決める
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 12月までに、受け持ち3人の処置の順番を、先輩に相談しながら自分で決められる。 |
| 行動計画 | 勤務の始めに、受け持ち全員の処置と時刻を1枚に書き、順番に番号をふって先輩に見せる。 |
| 評価基準 | 番号をふった紙を見せた日を10日つくり、直された理由をメモに残す。 |
| 根拠 | 複数の患者の看護ケアの優先度を考えて行動する★Ⅱ |
例8:輸液ポンプの管理
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 年度内に、輸液ポンプを使う点滴の準備と管理を、指導の下で安全に行える。 |
| 行動計画 | アラームが鳴ったときの対応を、病棟の手順書で1種類ずつ先輩と確かめる。 |
| 評価基準 | 病棟の研修と実技の確認を終え、指導の下での実施を5回記録に残す。 |
| 根拠 | 輸液ポンプ・シリンジポンプの準備と管理Ⅰ(★なし=到達の時期は施設が決める) |
例9:記録を正確に
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 下期のうちに、観察したことと行ったケアを、看護記録に正確に残せる。 |
| 行動計画 | 記録を書く前に「見たこと・したこと・そのあと」の3つをメモから拾う。 |
| 評価基準 | 月に1回、先輩に1日分の記録を読んでもらい、直された箇所を翌月に減らす。 |
| 根拠 | 看護記録の目的を理解し、看護記録を正確に作成する★Ⅱ |
例8のように★のない項目は、1年以内に一人でできることが前提ではありません。病院の表で時期が決まっていないなら、「指導の下で」と書いておけば足ります。
9〜12か月:次年度へつなぐ


最後の3か月は、一人で回せる範囲を広げながら、2年目に持ち越す課題を自分で選ぶ時期です。ある市立病院の表でも、3月の目標は自己の課題を明確にし、次年度の目標を立てることになっていました。
例10:残りの仕事を自分から伝える
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 2月までに、日勤の終わる1時間前に、残った仕事を自分から先輩に伝えられる。 |
| 行動計画 | 日勤の終わる1時間半前に、残っている処置と記録を書き出し、時間内に終わらないものに印をつける。 |
| 評価基準 | 2月の日勤で、残りの仕事を自分から伝えられた日が半分以上ある。 |
| 根拠 | 決められた業務を時間内に実施できるように調整するⅡ(★なし)/業務上の報告・連絡・相談を適切に行う★Ⅰ |
例11:夜勤で決めた時刻に報告する
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 年度末までに、夜勤で受け持つ患者さんの様子を、決めた時刻にリーダーへ伝えられる。 |
| 行動計画 | 夜勤の始めに、リーダーへ報告する時刻を2つ決めてメモの上に書く。 |
| 評価基準 | 2月以降の夜勤10回のうち、決めた時刻に報告できた回が8回以上。 |
| 根拠 | 業務上の報告・連絡・相談を適切に行う★Ⅰ/病院の例「夜勤業務を助言を受けながら実践」 |
例12:持ち越す課題を2つに絞る
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 3月の面談までに、1年分のチェックリストを見直し、2年目に持ち越す課題を2つに絞れる。 |
| 行動計画 | 2月中に、Ⅱのまま残った項目に印をつけ、経験できなかった理由を横に書く。 |
| 評価基準 | 最終評価の欄に、持ち越す課題2つと理由を書いて出す。 |
| 根拠 | 自己評価及び他者評価を踏まえた自己の学習課題をみつける★Ⅰ |
例12は、1年目の最後にいちばん役に立つ目標だと思います。残った項目が多くても、理由が「その手技の患者さんがいなかった」なら、それは本人の遅れとは限りません。
通年:安全の手順を守る


安全の項目は、ガイドラインでほとんどが★Ⅰです。時期を問わず書けて、回数や日数で評価しやすいので、目標が浮かばないときの1本目にも向いています。
例13:与薬の手順を同じ順番で
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 6月末までに、指示の確認から配薬までを、病棟の決まりの順番で毎回たどれる。 |
| 行動計画 | 手順を自分の言葉でカード1枚に書き、与薬の前に毎回見る。 |
| 評価基準 | 先輩の見守りで与薬を行い、手順の抜けがない日が10日続く。 |
| 根拠 | 誤薬防止の手順に沿った与薬★Ⅰ |
例14:患者さんの確認
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 5月末までに、採血や与薬の前に、名前を名乗ってもらいリストバンドと照らし合わせられる。 |
| 行動計画 | 名乗ってもらうときのひと言を決め、名乗れない人はリストバンドで確かめる。 |
| 評価基準 | 5月中に先輩が横で見た10回で、照合の抜けを一度も指摘されない。 |
| 根拠 | 患者誤認防止策の実施★Ⅰ |
例15:転倒を防ぐ見回り
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 7月末までに、受け持ち患者さんの転倒の危険を読み取り、ベッドまわりの対策をとれる。 |
| 行動計画 | 勤務の始めに、転倒の危険が高い人のベッド柵・ナースコールの位置・履き物を見て回る。 |
| 評価基準 | 見回りを記録に残した日が、7月末までに20日を超える。 |
| 根拠 | 転倒転落防止策の実施★Ⅰ |
「インシデントを起こさない」と書きたくなったら、この3本のどれかに置き換えてください。理由は、次の章の2つ目の型で書きます。
通年:学習と振り返り


学習の目標は「勉強する」で終わりがちですが、ガイドラインの研修手帳とチェックリストを使うと、形が残るので評価しやすくなります。
- 研修手帳:月1回書き足す
- チェックリスト:未経験を減らす
- ノート:根拠を1ページずつ
例16:研修手帳を毎月育てる
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 研修手帳の最初のページに「今年度目指すもの」と「そのためのプラン」を書き、毎月見直せる。 |
| 行動計画 | 月末に、その月にできるようになったことを1つ手帳に書き足す。 |
| 評価基準 | 年度末に、手帳の記録が12か月分そろっている。 |
| 根拠 | ガイドライン「研修手帳(研修ファイル)の活用」 |
例17:チェックの機会を自分でつくる
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 9月の中間評価までに、★の項目で未経験のものを、4月の半分以下に減らす。 |
| 行動計画 | 週の始めに未経験の項目を2つ選び、その手技がある患者さんの担当を先輩に頼む。 |
| 評価基準 | 中間評価のチェックリストで、未経験の★項目の数が4月の半分以下になる。 |
| 根拠 | 評価にはチェックリストなどの評価表を用いる(ガイドラインの評価方法) |
例18:受け持ちの病気を調べる
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 目標 | 受け持った患者さんの病気について、観察するポイントと理由を、翌週の振り返りで先輩に説明できる。 |
| 行動計画 | 受け持ちが決まった日に、観察ポイントを3つ、根拠と一緒にノート1ページにまとめる。 |
| 評価基準 | 下期のうちにノートが10ページたまり、そのうち3つを振り返りで説明する。 |
| 根拠 | 学習の成果を自らの看護実践に活用する★Ⅱ/ラダーⅠ(研究)「ケアの根拠を確認できる」の例 |
例17は、知恵袋で読んだ相談がきっかけで入れました。1か月以内に保清ケアのチェックを全部合格する目標なのに、保清に入らない患者さんを受け持つ先輩につくことばかりで、同期6人の中で自分だけ1つも合格できていないという内容です(2026年4月)。ベストアンサーは、チェックを受けられる患者さんをつけてもらえていないことを主任や師長に伝えるよう勧めていて、機会がないことは本人の力不足とは別の話だと分かります。
看護師1年目の目標が通らない3つの型と直し方


差し戻される目標は、だいたい3つの型に分かれます。評価できない型、否定形の型、段階が早すぎる型です。
順番に見ていきます。
評価できない型


1つ目は、気持ちとしては正しいのに、何ができたら達成なのか誰にも決められない目標です。「◯◯ができる」の◯◯に、目に見える行動が入っていないと、この型になります。
個人目標を「患者さんの想いを聞くことができる」にしたら、何をもって想いを聞けたとするのかと指導者に問われて答えられなかった、という新人本人の相談がありました(2013年4月)。あとで本人は、求められていたのは目標を達成するために何をするかだった、と書いています。
直すときは、「想いを聞く」を、聞く場面と回数に置き換えます。
- 直す前:想いを聞くことができる
- 目標:困りごとを1日1回聞き記録する
- 評価:7月までに20日分の記録
清拭や食事介助のときに「いま困っていることはありますか」と聞いて、患者さんの言葉を記録に1つ残す。これなら、記録を数えれば達成かどうかが分かります。
否定形の型


2つ目は「インシデントを起こさない」のような、起こさないことを目標にする型です。起きなかった数は自分だけでは決められないうえに、1回起きたら、そこで目標が終わってしまいます。
年間目標に「インシデントを起こさない」などを立てたものの、中間評価と最終評価に何を書けばいいのか分からない、という30代の新人の相談がありました(2013年2月)。閲覧は5万6千回を超えていて、ベストアンサーは、目標そのものが評価しづらい形になっていて、立てる時点で評価のことを考えておくといい、と指摘していました。
直すときは、「起こさない」を「起きそうなときにすること」に置き換えます。ガイドラインでも、インシデント事例を速やかに報告することは★Ⅰの到達目標です。
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 直す前 | インシデントを起こさない |
| 目標 | ヒヤリとしたことを隠さず、その勤務が終わる前にリーダーへ伝えられる。 |
| 評価基準 | 中間評価の欄に、伝えた件数と、そのあと変えた手順を1つ書ける。 |
この形なら、ヒヤリとしたことがあっても目標は終わりません。インシデントのあと自分を責めて眠れなくなっているなら、看護師がアクシデントで辞めたいと思ったときの話も読んでみてください。
段階が早すぎる型


3つ目は、中身は悪くないのに、いまの段階より先のことを書いてしまう型です。先輩が見ているのは「いまの段階で何ができるか」なので、先回りした目標は返されやすいです。
外科系の病棟で4か月の新人が、シャドーの前に書く紙に「焦ったときに抜けがないようにする」と書いたら、「まだそこを考えるレベルではない」と言われて再提出になった、という相談がありました(2026年8月)。
シャドーと逆シャドーは、呼び方も順番も病院によって違うことがあります。この相談の人も、逆シャドーのあとにシャドーをする順番でした。なので名前より、その日が何をする段階かで目標を決めると外れにくいです。
- 見て覚える日:見て書き留める
- 見てもらう日:見てもらいながらやる
- 独り立ち:一人でやって報告する
先輩の動きを見て覚える日なら「受け持ちを回る順番と、その理由を3つ書き留め、翌日に1つ自分で確かめる」くらいがちょうどいいです。焦ったときの抜けを防ぐ話は、一人で動く段階になってからで間に合います。



否定されたのは中身ではなく段階のずれ、ということが多いと思います。
看護師1年目の中間評価と最終評価の欄は「できた1つ+次の一手」


評価欄は、できたことを1つ数字で書き、できなかったことには理由と次の一手を添えます。これはガイドラインの評価の考え方とも合っています。
ガイドラインは、評価を「できたか、できなかったかのみ」で見るのではなく、できたことを褒め、強みを確認し、次の行為につなげるものとしています。新人が自分で次の目標を決められるよう支える、とも書かれています。だから評価欄も、反省文ではなく次の目標の下書きとして書くと、読む側の役に立ちます。
| 型 | 評価欄の書き方の例 |
|---|---|
| できた | 7月までに吸引を見守りで5回行い、8月から一人で行っている。 |
| 途中 | 処置の順番は見せた日が6日。残り4日は下期に続ける。 |
| できなかった | 輸液ポンプの実技は機会が1回だけ。下期に担当を頼み3回行う。 |
出典:厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」の評価方法(自己評価と他者評価、チェックリスト、面談)をもとに筆者が作成。2026年10月23日確認。
評価する場の数も病院で違います。わたし自身の師長面談は、秋と年度末の年2回でした。ある市立病院の表では、個人目標の面接が年3回あり、それとは別に師長・教育担当・プリセプターとの面接が月末に1回あります。



できなかった理由が「その機会がなかった」なら、そのまま書いて大丈夫です。
半年の面談で、目標とは別の課題を言われることもあります。半年を終えて10月から「自立期」に入ると言われ、定期面談で自己発信の少なさを課題に挙げられた、という新人の相談がありました(2025年9月)。言われた課題は、後期の目標の1本にそのまま入れてしまえば、次の面談で「やったこと」として話せます。
年度末の最終評価で残った課題は、2年目の目標の種になります。持ち越した課題を2年目の用紙にどう書くかは、看護師2年目の目標管理シートの例文に同じ欄の名前で並べてあります。
新人の振り返りシートを作り直した側から見ていたこと


目標の立派さより、1回の勤務で確かめられる大きさのほうが教える側も助かる、というのが見る側にいたわたしの考えです。
わたしは急性期の内科外科混合病棟に7年いて、その間にプリセプターをしました。「今日はこれだけ」と、その日に教える中身をしぼるのが、わたしのやり方でした。声をかけるときは、励ましの言葉を重ねるより「最初はみんなそうだったよ」と言って、できたことを1つ具体的に返していました。
教える中身をその日の分にしぼっていた側から見ると、行動計画も1回の勤務で確かめられる大きさで書かれていれば、その日に何を見ればいいかが決まりやすいと思います。これはわたしの立場からの見方で、病院や指導する人によって違うはずです。



新人さんが帰ってから自分の仕事を片付けるので、教えていた時期は残業が少しずつ増えました。
病棟を辞める前、わたしは新人の振り返りシートと指導マニュアルを作り直して引き継いでいます。教える側の悩みや、プリセプターを任されたときの気持ちは、プリセプターを任された看護師へ向けた記事にまとめています。
目標どころじゃない看護師1年目へ


用紙の前で「辞めないこと」しか浮かばないなら、例文を1本写して出すだけでいいです。目標の出来より、明日も病棟に行けるかのほうが先です。
知恵袋には、こんな新人本人の相談がありました。
- 配属1週間で食欲が落ちた
- 半年で同期と比べられ毎日辞めたい
- 4か月目の振り返りで泣いた
ガイドラインも、就職後早い時期の評価は精神的な支援も含めて綿密に行う必要があるとしています。
食べられない、眠れない、出勤の前に体が動かない日が続くなら、目標の欄より先に、教育担当か師長に体のことを伝えてください。職場の健康相談の窓口や、医療機関に相談するのも選択肢です。
3交代の夜勤について、1〜4年目のわたしは「慣れれば平気」と感じていました。準夜明けに眠れない、生理が乱れるといったサインが出てきたのは5〜6年目です。だから、いまのつらさを慣れの問題だと決めつけなくていいと思っています。
辞めたい気持ちそのものを整理したい夜は、看護師1年目で辞めたいと思ったときの記事を読んでみてください。



目標の用紙を出せない日があっても、それで看護師失格にはなりません。
辞めるかどうかを考え始めているなら、決める前に、1年未満で辞めると次の応募でどう見られるかも知っておくと安心です。看護師が1年未満で辞めたら不利になるのかを応募先の種類別にまとめてあります。
看護師1年目の目標のよくある質問


- 看護師1年目の目標はいつ立てるものですか?
-
病院ごとに違います。知恵袋の相談でも、入職してすぐに「1年後どうなっていたいか」を書くよう言われた例や、中間評価・最終評価を出す例がありました。厚労省のガイドラインは評価時期の例として1か月・3か月・6か月・1年を挙げているので、その区切りで見直す病院もあります。
- 看護師1年目の目標はいくつ書けばいいですか?
-
用紙の欄の数に合わせるのがいちばんです。指定がなければ、生活援助などの技術から1本、安全か報告から1本、学習から1本の3本くらいが書きやすいと思います。1本ごとに行動計画と評価基準が必要なので、数を増やすほど評価の欄で苦しくなります。
- 看護師1年目の目標で「ラダーⅠ」と言われたら何を書けばいいですか?
-
自分の病院のラダー表のレベルⅠの文言を借りて、それを手技と月に落とすのが早いです。ある大学病院では、レベルⅠの実践を「日常生活援助を安全・安楽に行うことができる」としています。この文言なら、清拭や食事介助の例文がそのまま当てはまります。
- 手術室や外来の看護師1年目の目標はどう書きますか?
-
型は同じで、手技の名前を部署のものに置き換えます。手術室なら器械出しや外回りの手順、外来なら採血や診療の介助など、毎日くり返す業務から1つ選んでください。病棟向けの★の項目が部署で経験しにくいときは、ガイドラインでも到達期間を2年目以降にすることがあり得るとしています。
- 新人看護師の夜勤の目標は何を書けばいいですか?
-
1年目の夜勤は、一人で全部回すことより、報告のタイミングを決めることを目標にすると書きやすいです。「夜勤の始めに報告する時刻を2つ決め、その時刻にリーダーへ伝える」のような形です。知恵袋の回答にも、まず無事に終わることを目指し、そのために自分ができることを考えればいい、というものがありました。
- 新人看護師の月の目標と年間目標はどうつなげればいいですか?
-
年間目標を「◯月までにⅠ」の形にしておき、月の目標はそこへ向かう1か月分の手技と回数にします。たとえば年間が「8月末までに吸引を一人で」なら、6月は「見守りで3回」、7月は「見守りで5回と自分で準備」と分けます。月の目標が年間目標の途中の段になっていれば、どちらの欄も書きやすくなります。
- 看護師1年目の目標管理シートの自己評価はどう書けばいいですか?
-
できたことを1つ数字で書き、できなかったことには理由と次の一手を添えます。「7月までに見守りで5回、8月から一人で実施」「機会が1回だけだったので下期に担当を頼む」のような形です。ガイドラインも、評価はできたことを確かめて次につなげるものとしています。
- 看護師1年目の目標は同期と同じでもいいですか?
-
病棟で決まった共通の目標があるなら、同じで問題ありません。ただ、行動計画と評価基準は、自分がまだ経験していない手技に合わせたほうが書きやすいです。同期の進み具合は受け持ちの患者さんで変わるので、比べる物差しにしなくていいと思います。
- 看護師1年目の目標が達成できなかったらどうすればいいですか?
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評価欄に、できたところまでと、できなかった理由を正直に書いてください。機会がなかったのか、指導の下ではできているのかで、次の目標の書き方が変わります。ガイドラインでも、経験の機会が少ない技術は到達期間を2年目以降にすることがあり得るとしています。
- 看護師2年目の目標は1年目と何が変わりますか?
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1年目は「指導の下で」から「一人で」へ上がることが評価の中心でしたが、2年目は一人で回すことが前提になり、個別性や後輩への関わりが加わります。1年目の最終評価で残った課題を、2年目の最初の目標に持ち越すと書きやすいです。例文は看護師2年目の目標の記事にまとめています。
まとめ:看護師1年目の目標は月と到達の段階で区切る


看護師1年目の目標は、立派な言葉より「◯月までに・この手技を・ⅡかⅠまで」で区切ると、評価できる形になります。段階の物差しは厚労省のガイドラインにあり、自分の病院の表があればそちらが最優先です。
- 月・手技・段階で区切る
- 書く単位を先に確かめる
- 1・3・6・12か月で見直す
- 根拠の欄に★と段階を書く
- 否定形は「すること」に直す
- 評価欄は次の目標の下書き
入職から半年がたって中間評価の欄を書くころに、もう一度ここを開いてください。月別到達目安の表で自分の位置を確かめて、評価欄の書き方の3行を写せば足ります。年度末に2年目の目標を考えるときも、例12から始めれば迷いません。
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年次ごとの目標の記事は、ここから開けます。








